「なぜ」を問いかけるモノサシの違う試験として「適性検査型入試」を導入した安田学園中学校・高等学校

適性検査型

JR両国駅から徒歩6分。都内だけでなく千葉からのアクセスもいい同校は、安田財閥を築いた安田善次郎翁により1923(大正12)年に設立されました。

同校は当初、経済界に多くの有用な人材を輩出すべく、商業系の高校としてスタート。文武両道の学校として経済界だけでなくスポーツ界にも多くの人材を輩出し、その歴史を刻んできました。

2012年、翌年の創立90周年に向けた学校改革がスタート。高校の商業科・工業科の募集停止、コース制の導入、共学化が行われました。共学化した2014年8月には中学棟が完成し、施設はさらに充実。創立者安田善次郎翁の「実業界の有用な人物の育成は、社会の基礎である」という、建学の精神を変わることのない「不易」とし、時代に合わせた人間教育を「流行」として取り入れ、自ら問題を発見し、創造的に考え、多くの人々と協力し、21世紀のグローバル社会に貢献できる人材の育成に取り組んでいます。

「なぜ」を問いかける、知識を応用させる教育。

創立90周年に向けた学校改革のために安田学園では、海外の学校の視察を実施。その際、海外の学校では「なぜ」を問いかける授業を行い、知識を応用させる教育を行なっており、その重要性に注目します。そこで取り入れたのが2科4科の試験とは異なる「適性検査」による試験。入試という入口から今までとは違うモノサシで生徒を募集することで、安田学園に新しいタイプの生徒を受け入れていきました。

では、安田学園ではどんな「適性検査試験」が出題され、どんな学校生活が待っているのか、教頭 仁木 健嗣先生にお聞きしました。

教頭 仁木 健嗣先生
※写真撮影時のみマスクを外していただきました。

Q1 「適性検査試験」はどのように行われているのでしょうか?

「おそらく東京23区内で適性検査試験を導入した私立は、本校が初めてだと思います。現在は、「Ⅰ」〜「Ⅲ」の3つの適性検査試験を行なっていて、2月の1日、2日、4日の午前に行なっています」

Q2 どんな「適性検査試験」なのか教えていただけますか?

「適性検査Ⅰは、2つの論説的文章を題材とした問題に対し、問1〜4は、記述・抜き出し問題、問5は、350〜400字の作文問題となっています。文章の論旨を客観的に読み取り、必要な情報を総合して考える力や自分の考えを自分の言葉でわかりやすく表現する力をみます。時間は45分です。適性検査Ⅱは、問1が算数的分野、問2が社会的分野、問3が理科的分野の問題となり、個別の知識をもとに、それらを活用する総合的な課題解決能力をみます。時間は45分です。適性検査Ⅲの解答時間は30分で、算数的分野と理科的分野の2問が出題され、理数系の課題に対する解決能力をみる問題となっています。最近の受験生の方は、塾で作文対策をされていらっしゃる方が多いので適性検査1ではあまり差が出ません。合否には適性検査Ⅲが重要になってきています」

Q3 各試験へのアドバイスをいただけますでしょうか?

「適性検査Ⅰの作文以外の読み取り問題は、通常の入試レベルかそれよりもやさしい設定ですので取りこぼさないようにしてください。作文に関しては、課題文の要約がきちんとできているか、また自分の考えは、筆者の意見をそのまま持ってくるのではなく、根拠や裏付け、エピソードなど具体例に基づいて自分の意見が書けているかを大切にしてください。社会的分野は、表とグラフの読み取りが必ず出題され、社会的事象と出来事の因果関係を考察し、それを言葉で表現する文章力が求められます。適性検査Ⅱの算数問題では、会話文で出題される整数の問題が必ず出ますので対策しておくと良いでしょう。適性検査Ⅲでは、規則性の問題が出題されますが、これは正解が一つの問題ではないので、部分点や途中点も与えますので、頑張って最後まで書ききるということが大切です。理科的分野は、表やグラフが多岐にわたって出てきますのでそれらを集約する力が求められます」

Q4 道徳用副読本「生き方の探究」について教えてください。

「『生き方の探究』は、安田善次郎翁の教えをまとめた本で、『人間としてどのように生きていけば良いのか』『逸話や・例話を通して何をどのように考えるか』『知識だけに偏らず、人間としての総合力の向上』などで構成された安田学園独自の副読本です。以前は、『人間力をつける』と題されていたもので、『自学創造』のもと、本校の6年間で身につける『仮説力』『実行力』『協創力』『人間力』『自己統制力』という5つの力を学ぶ際の重要な教材です」

Q5 最後に受験生へのメッセージをいただけますでしょうか。

「本校は実学からスタートした学校であり、ゴールは大学進学ではなく社会にでてしっかりと立って生きていける人間です。これからの先行きが見えない時代にも、前向きに取り組めて積極的に行動できる、知的好奇心が高い受験生の方をお待ちしています」

2020年に共学化1期生が卒業し、学校改革の成果が花開いている安田学園は、スポーツも盛んな文武両道の学校でもあります。ここではご紹介しきれない魅力は、ホームページや学校説明会でご確認ください。

学校完結型の学習環境

学校完結型の学習環境

自学力を養うための独習ウィークや独習デー、習熟度チェックテスト後の放課後補習、放課後進学講座、進学合宿など。安田学園には、教わる時間より考える時間を重視した「自ら考え学ぶ授業」をベースに、1年生〜5年生2学期までの「学び力伸長システム」と、5年生3学期から6年生の第一志望大学に向けた学習をサポートする「進学力伸長システム」で、学校完結型の学習環境を構築。毎年好成績を更新する進学実績となっています。

教えて!学校のこと 試験のこと

「適性検査型入試」を受験した生徒さんに試験のことをお聞きしました。

Q1 中学受験を考えはじめたのは何年生のいつ頃ですか?

小学2年生の冬に姉が中学受検をしたのを側で見ていて面白そうだと思ったからです。

Q2 「適性検査型試験」をどこで知りましたか?

姉が適性検査で受験していたのと、通っていた塾の先生にも詳しく教えてもらいました。

Q3 なぜ「適性検査型試験」を選んだのですか?

難しい問題が解けた時、達成感を感じたからです。

Q4「適性検査型試験」を受験するために何か準備をしましたか?

2箇所の塾に通ったのと、小学生新聞を3年間ほど読んでいました。

Q5「適性検査型試験」を受けてみた感想は?

割合や規則性の問題は得意で楽しく取り組めましたが、記述や作文の問題は苦手で苦労しました。

Q6 入学してどうですか?

クラスや部活で仲の良い友人や先輩に恵まれて、とても充実しています。

Q7将来の夢はなんですか?

プログラミングの勉強をたくさんして、AIやロボット技術の発展に貢献したいです。

Q8 来年の受験生へのアドバイスもしくはメッセージをお願いします。

適性検査の勉強は、中学に入ってからあらゆる教科で役立っています。私はたまにサボってしまいましたが、みなさん悔いのないように頑張ってください。

取材Memo

科学のオリンピックに、生物部が日本代表で出場!
アメリカで行われた「インテル国際学生科学技術フェア2019」に、安田学園の生物部が日本学生科学賞「科学技術政策担当大臣賞」を受賞して日本代表として出場しました。世界80以上の国や地域から1800人が参加する“科学のオリンピック”とも言われる世界最大の科学コンテストに出場したのはスゴイことですが、それにもまして感心したのは、世界の中での日本のポジションを肌で感じてきたということ。研究費のカットなどで日本の論文発表数は激減しており、今後はノーベル賞をとることが難しくなるともいわれています。がんばれ、生物部!頼むぞ、日本の未来!