第8回「倍率の違い」初めての中学受験 素朴なギモンに答えます

第8回

Q 「倍率」っていろいろ出てくるのですが、どう違うのですか?

資料によって、同じ学校でも「倍率」が違うのですが、どうしてなのですか?

A 何を基にしているかで違ってきます

入試結果は主として、募集人員、応募者数、受験者数、合格者数で語られます。このほか入学手続き者数、辞退者数、繰り上げ数、入学者数などもあるのですが、これらは一般には公表されません。

「倍率」に関わる数字も前者の4つです。まずこれを、募集人員をA、応募者数をB、受験者数をC、合格者数をDとします。仮にA=100、B=500、C=400、D=200とします。

応募者数は出願者数とも言うように、願書を出した人数です。出願したけれども試験当日に来ないケースがあるので(ダブル出願<同じ日時の他校にも出願>していた、すでに志望順位の高い他校に合格しているなど)、受験者数は応募者数より少なくなります。また、より志望順位の高い他校に合格した場合はその学校に行ってしまうので、学校は募集人員より多くの合格者を発表します(御三家であってもそうです)。

で「倍率」ですが、主に次の2つです。
・応募倍率 B応募者数÷A募集人員=5→5倍ということになります。
・実質倍率 C受験者数÷D合格者数=2→2倍ということになります。

入試が終わって早い時期は応募者数しか判明しないので、早くに刊行された資料には応募倍率が掲載されることになります。が、お気づきのように、受験に際して参考になるのは実質倍率なので、間に合う時期から実質倍率が掲載されることが多くなります。ただ応募倍率の方が高く出て見栄えがいいので応募倍率のままというケースもあります。

もう一つお話しておきます。学校全体(すべての入試回の合計)の応募倍率、実質倍率が掲載されていることもあります。が、入試回により「倍率」は大きく異なるのが現実です。例えば、2月1日午前の第1回の実質倍率が1.98倍の学校が2月4日の第6回は7.67倍などということがあるのです。ですからお子さんが受ける予定の入試回に注目するようにしてください。

以上、「倍率」はより意味のあるものを利用するようにしてください。

プロフィール

中学受験の専門家 安田 理 先生
東京都出身。早稲田大学卒業。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。日本経済新聞、朝日小学生新聞、「進学レーダー」、「サクセス15」、ベネッセ「高校合格言」、まなび倶楽部、WILLナビ、moveonlineなど各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。著書に、「中学受験 わが子をつぶす親、伸ばす親」(NHK出版)、「中学受験 ママへの『個別指導』」(学研)などがある。

安田教育研究所ホームページ:http://www.yasudaken.com