【自修館】の探究型入試で、グローバル社会へ羽ばたくための、知識と知恵と心と体を手にいれる6年間へ。

探究型入試

創立以来「探究」を授業に取り入れ、生徒自らが課題を発見して解決策を考える「探究型思考」の育成に力を入れてきた自修館中等教育学校。小河学校長は、日本だけでなく世界でも山積する課題を解決していくためには、「探究型思考」に加えて、よりグローバルな感覚と英語力が必要だと考え、強化をしていくといいます。 入試についてお聞きする前に、自修館の新たな取り組みについて小河学校長にお聞きしました。

学校長 小河 亨先生 

なぜグローバルな感覚と英語力が必要なのでしょうか?

「海に囲まれた我々は外との連携が少なかったと思います。これからは直接海外の人と仕事をすることもあれば、何かものを作る時に間に海外の方が入ることもあるでしょう。スポーツでも指導者が海外の方というのも普通になってきています。これからは我々の従来の価値観や見方では前に進めないと思っています。グローバルには英語力が必要ですが、大切なのは自分が思っていることがすべてではないことを知って、異文化の人と一緒に進めていく感覚を身につけてほしいと思っています。そしてそれは年齢的に早い方がいいのです」

ネイティブの先生によれば中3程度の英語力があれば会話はできるはず。それなのに欧米の方を前にすると何か壁があって言葉がでなくなってしまうのは、慣れがないからではないかと小河学校長。そのためにもこれまでの語学研修や留学支援に加えて、校内で日常的に英語に触れる機会と場所をつくっていくといいます。

具体的な取り組みはどのようなことをなさるのでしょうか?

「令和6年度から本格的にCLIL(Content and Language Integrated Learning:内容言語統合型学習)を導入し、英語の4技能をバランスよく習得すること、暗記、理解、分析、創造など、あらゆる力を活用するテーマに取り組むことで英語をしっかり定着させること、英語と社会、英語と理科といったクロスカリキュラムで行うことで学びの意欲と学習効果を高めることを行なっていきます。またネイティブ教員の授業をはじめ、学校行事、部活動、放課後プログラムなど学校生活の中で英語に触れる機会を増やし、Global Loungeを設置し、生徒が英語を使って自分の言葉でコミュニケーションできる力を育成する環境を整えていきます」

グローバルと英語教育に力を入れていくという自修館。しかし自修館といえば、探究。C-AIRプログラムで、社会と向き合い何ができるかを探究する6年間の一貫授業が人気です。グローバルや英語教育はどのように探究と関わってくるのかを、小河学校長にお聞きしました。

グローバル教育と、探究的な学びの関係性は?

「本校の教育目標は、創立者の『知行合一』という、知識と行動は一体のものという考え方から派生した、自主・自立の精神に富み、『自学・自修・実践』ができる生徒を育成することにあります。C-AIRで身につける探究力は、自分の興味・関心事を社会と関わりながら掘り下げていくのですが、そこには、自学・自修だけでなく、外の世界と向き合い、実際に経験する、つまり実践することがとても大切なのです。そして今、外の世界は、先にもお話ししたとおり世界とよりつながっており、その世界とつながるためには、異文化に慣れる経験、話せる力がより必要になってきているのです」

ワールドキャンパス伊勢原での体験、座学ではない体育授業での交換留学生とのふれあい、ネイティブの先生によるホームルームなど。これらの取り組みは“英語はコミュニケーションツール”であることを肌で感じさせ、“英語は普段使いするもの”に意識を変化させているといいます。そのため留学を希望する生徒は増加、今年の中1のオリエンテーションは、オールイングリッシュに近いカタチで行っています。

また自修館では今年度から、1の柱はChange(真の国際人に自らを改革)、2の柱はChallenge(さらに良いグローバル社会を作り出そう)、3の柱はCollaboration(自分らしく国境を超えて世界へ貢献協働)という、3本柱を掲げており、『英語教育とグローバルマインド育成』で『探究的な学び』をより高みへと昇華させていくといいます。
そんな自修館への入口となる入試についてお聞きしました。

探究入試について教えてください

「県立中等教育学校の適性検査を意識した入試として、2月1日の午前に探究入試を行なっています。問題はどちらも教科横断型の、探究Ⅰ(理系寄り)探究Ⅱ(文系寄り)、いずれも100点/50分の入試となります。併願は、平塚中等教育学校が圧倒的に多く、次が相模原中等教育学校。昨年から県立中等教育学校の問題は、マークシートが導入され数値計算問題がありましたが、本校の問題は、従来通りの本当に聞きたいことを聞く問題となっています」

入学してからの探究の授業に魅力を感じて受験校として選ばれることが多い自修館。昨年度は、一般入試も湘南学園や桐光学園に肩を並べる感じで鎌倉学園との併願が増えているといいます。

自修館生の1日紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=6adkQZQscVk

教えて!自修館の探究のこと

自修館の「探究的な学び」について、探究力開発センター 研究開発室長 海老名先生にお聞きしました。

探究力開発センター 研究開発室長 海老名 豊昭先生

Q. 「探究」のプログラムはいつはじまったのでしょうか?

「本校は創立25周年を迎える学校ですが、1999年の創立時に21世紀に向けてこれからの社会をつくっていくグローバルな視点をもった人間を育てるとい理念を掲げ、従来にはないプログラムとして誕生したのが『探究』です。当初は前期の中学3年までのプログラムでしたが、2020年に高校2年生までのC-AIRプログラムとしました」

Q. C-AIRプログラムとはどんなプログラムなのでしょうか?

「C-AIR は、Change and Coexistence - oriented Agency through Inquiry and Researchから名付けられました。Changeには、これからの変化が激しい時代に対し自ら変化を起こしていくこと。またCoexistence(共存)には、変化が激しい時代にあっても人々と共存して物事を進めていくという思いがこめられています。C-AIRでは、1年生は人文・社会系の文献調査やインタビュー調査、情報分析などの方法を学び、2年生は大学や研究機関と連携し、理工・生物系の「探究」を進めていきます。3・4年生は、12の学術分野ごとのゼミに分かれ、自らがテーマを決定し研究を進めていきます。5・6年生では、個人・グループでの研究を進めていきます」

中1生がQRコードを使ったフィールドワークを行ったり、高校生が作成した気象制御についてのポスターがJST(科学技術振興機構)の目にとまりシンポジウムに参加、その後は大学の研究室を訪問することになったり。自修館の探究は、とにかく本格派。コンクールに応募してというやり方もありますが自然なカタチで探究が究められているといいます。
また「質問をするとすぐ回答が帰ってきたり、同じ何かを追求している人たちのネットワークや熱量にはすごいものがあり、探究は社会とつながる近道です」と、海老名先生。

教えて!学校のこと 試験のこと

S.Rくん(高校2年生)4科目で受験。サッカー部でキャプテンを務める。

Q. 自修館を選んだ理由を教えてください

「いろいろな学校の説明会や文化祭に行ったのですが、いろいろなモノが置いてあったり展示していたり、校内の雰囲気が自由というか生徒がやりたいことをやらせてくれる学校という印象を持ちました。自修祭に行った際、探究の発表もあって、『学校でディズニーかよ』と当時は思いましたが、今思えば、授業で課題を出されるより、自分が好きなことを探究できるのはいいことだと思います」

Q. 自修館は第一志望でしたか?

「第一志望は湘南学園でした。受験した時のことを思い出すと、自修館は記述問題が多く、やはり探究につながるのかなと思ったりしました。親には自修館の方がよかったんじゃないといわれましたし、実は妹も自修館に通っています。学校は入ってみないとわからないと思いますが、自修館は、授業から自分で問いを持って調べる、探究を大切した学校なので、探究マインドを持った人には合う学校だと思います」

Q. どんな探究に取り組んでいますか?

「スターウォーズの影響で小さい時から宇宙が好きだったので、3、4年生のゼミは物理学ゼミを選び、宇宙のことを探究してみることにしました。月面への移住やロケットの開発について調べ、3Dプリンタを使うことによって宇宙に行くことや住むことを簡単にできないかということを導き出しました。その過程では、インターネットを調べても出ていない新鮮な情報を大学教授に教えてもらえたのはいい経験でした。5年生になると、自由な探究になるのですが、今のテーマは昆虫食です。牛1頭を家の中で飼うことはできませんが、昆虫は家の中でも育てることができます。今まで食べてないものを食べることにはハードルもありますが、将来的にはスーパーマーケットと連携してスーパーマーケットで出るゴミ的な食料をコオロギに与えて育て、スーパーマーケットでコオロギを販売するということを構想しています。探究では、学校が必要なものを購入してくれるだけでなく場所も借してくれるので、今は学校でコオロギの繁殖を行っています。また図書館のcom+comで必要となる本を資料として買ってもらえるのもとても助かっています」

「静粛に」という一般のイメージとはちょっと違う、
アットホームな雰囲の図書館com+com(コムコム)

Q. 探究のいいところはどんなところだと思いますか?

「探究をすることによって、やることは増えますが、1,2年生から探究の方法を学んで、3,4年生で論文を書くことは、今後必要となる力だと思っています。どんなに技術が発展しても、人間が探究して成長することを続けてきたから今があるわけで、探究的な思考だったり、自分の問いについて突き詰めていくことは、どんな分野にしても、いつの時代にしても大事なこと、ということを刷り込まれた!?ことだと思います。また企業と関わりが持てたり大学の先生と話す機会ができたりすることも、普通の授業ではありえない、探究をやっているからできるメリットだと思います」

Q. これから中学受験をする人へメッセージをお願いします。

「授業では触れられることがない、自分がやりたいことを探究できる学校です。誰かに教えられるものでもないし正解があるものではありませんが、探究に対して意欲を持って楽しく突き詰められる人におすすめです」

取材Memo

学校は親のためではなく子供のためのもの
第一志望ではなく入学してくる子も多いという自修館。中学入試では親の方を向いてしまうことが一般的な気がしますが、小河学校長は、それは違うといいます。「学校は親のためにあるのではなく子供のためにある」という小河学校長は、入学してきた子供たちの気持ちを、まず受け止めることがとても大切であり、第一志望ではなく入学してきた、傷ついているかもしれない子供たちの心を癒し、まず自信を持たせてから、探究やグローバルに目を向けさせる。子供はまだまだ未熟でその可能性はわからないのだから、この先の大学受験も人が測ってはいけないといいます。さすがEQ(心の知能指数)を教育に取り入れている学校の学校長のお言葉だと思いました。