八王子学園八王子中学校のパンフレットやホームページを開くと、そこにはHACHIOJI TONE(トーン)という文字が目に入ります。TONE(トーン)とは「音色」であり、同校では生徒一人ひとりが持っている夢と個性が響き合い、多彩な音色を奏でることを大切にしています。
確かに、東京大学と東京藝術大学に合格者を出し甲子園に行く学校は、おそらく唯一の学校であり、その他、早慶上智、医大、音大など、多彩な方面への進学実績を見れば、生徒たちが抱いた多彩な夢を闊達に叶えていることが伺えます。
そんな八王子学園八王子中学校の魅力と入試について、波平先生にお聞きしました。

※写真撮影時のみマスクを外していただきました。
八王子学園八王子中学校の魅力を教えてください。
「2028年の創立100周年に向けて、新しい時代の子を育てる100周年プロジェクトを立ち上げています。これはアクティブラーニング型授業、グローバル教育、ICT授業の推進を軸とした『八学イノベーション』をさらに進化させたプロジェクトです。これらはどの学校でも取り組んでいることかもしれませんが、本校の魅力は、どれか一つに特化するのではなく、何が伸びるかわからない生徒のTONEを尊重しながら、今に時代に必要なものをほどよくバランスよくすべて学べる点が本校の魅力ではないでしょうか」
100周年プロジェクトに『八学イノベーション』のようなテーマはあえて決めていないとのことでしたが、高校に「特選クラス」を設けることは決まっており、その他にも様々な変革が進められているといいます。

ICTを活用したアクティブラーニングについて教えてください。
「全クラスに電子黒板があり、生徒は一人一台のタブレットを持っています。ロイロノートを導入しているので、全員の答えを電子黒板に表示して、その答えをどう考えたかを皆の前で聞きことができます。中1生だと人の考えについて話すのは難しいのですが、自分が考えたことは話すことができます。中1から自分の考えを発言する訓練すると、自分の意見がいえるようになります。ICTは、画像共有などのメリットもありますが、あくまでもアクティブラーニングの効果を高める教具であり、大切なのは、自分の意見をプレゼンテーションする力と、仲間と協働して課題解決していく力の育成です」
アクティブラーニングは各教科の授業に取り入れられているだけでなく、「修学旅行・海外研修事前学習」や「八王子学」、「探究ゼミ発表会」など、授業の枠を越えて、生徒が学び合いながら思考力を高める探究ゼミが展開されています。

https://www.youtube.com/watch?v=yxbJo9qwjIo
英語教育について教えてください。
「中1から対策をはじめ高2で英検2級の取得を目指しています。語学は耳で慣れることと実践が大切です。ネイティブによる授業は、十数名の少人数で行い読む・書く・聞く・話す力をつけていきます。実践面では、コロナ禍は提携校とのオンライン交流会となってしまいましたが、本校では夏休みにオーストラリア研修を行なってきました。この研修は1家族に1人なので、自分で英語で解決しなければならない状況をつくりだし、実践的な学びの場となっています」

2つのコースについて教えてください。
「2月1日と2日に東大・医進クラス、3日に特進クラスの入試をおこなっています。クラスで上位5番位の成績に入っていれば特進クラスから東大・医進クラスに入ることができます。逆に東大・医進クラスから特進クラスに移ることはありません。中1は東大・医進クラスが約26名で1クラス、特進が30〜35名で2クラスですが、特進生が頑張って伸びて高1では東大・医進クラスが2クラス、特進が1クラスになることを目標としています」
ただ今年から様々な経験や出会いの中で変わるかもしれない志望に添えるように高校でのコース選択の自由度を高めたといいます。

「本校の高校は、3コース・3クラス・3類系という編成で、生徒の多様な目標に応えるものになっています。これまで内進生は外進生とは混ざらず、そのまま高校に進んでいました。そちらを現小学6年生の代から高2からは外進生と一緒に、特選クラス(最難関大学合格を目指し探求型の学びで社会で活躍する資質を身につける)、特進クラス(東大をはじめとする難関国公立大学と早慶上理への現役合格を目指す)、進学クラス(特進クラスと同等のカリキュラムで国公立大学と難関私立大学合格を目指す)などに進めるようにしました」
東大・医進クラスにいても大学は推薦入学にしたくなったらそれもOK。これは中3、高1の間に、将来自分はどうしていきたいのかをもう一度しっかり考え、ミスマッチなく、自分のTONEを大切に未来に進んで欲しいということ、また内進生100名で6年間を過ごすのではなく、400名の外進生と混ざり視野を広げて欲しいことからの変革です。

入試問題について教えてください。
「適性検査Ⅰ型は、文章を読んで質問に対し600字程度の文章を書く試験です。Ⅱ型は算数・理科・社会の融合問題です。南多摩中等教育学校を想定した問題ですが都立立川国際中等教育学校志望の方も受験されています。ぜひチャレンジしてみてください。受験対策としては、Ⅰ型は、落ち着いてしっかりと何をどう問われているかを考えて文章を構成すること、Ⅱ型は、時間が限られていますので、その時間内で処理する力をつけることが大切です。これは受験した生徒にアンケートをとった際に最も多かったことで、何度も解いて時間内に解答する感じをつかむトレーニングをすると良いと思います」

受験生へアドバイスもしくはメッセージをお願いいたします。
「本校の成り立ちは地元の有志がお金を出しあってできた、みんなの学校であり、何か一つに特化したような特長はありませんが、バランス良く今必要な力を身につけられる学校です。また新しいクラス編成では、中3と高1に、自分と向き合い自分の考えで将来を決めていく時間もつくりました。ぜひ人格を尊重し一人ひとりのTONEを大切にする本校の門を叩いてくれればと思います」
天井から光が降り注ぐエントランスホール。通称スカイウォークを歩く生徒たち。とても長い廊下沿いにある職員室、中学生専用の自習室など。八王子学園八王子中学校には、見どころが沢山。校舎紹介ビデオもありますが、ぜひ学校説明会で学校訪問することをおすすめいたします。

https://www.youtube.com/watch?v=XlUC5MFcHDk
- 取材Memo
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探究ゼミは新しい力
探究ゼミは、生徒が選んだ課題に取り組み、学園祭(前期)や学期末(後期)にプレゼンテーションを行うアクティブラーニングプログラム。その課題は「水について」「世界遺産について」から「ラーメンについて」まで多種多彩。6年前から取り組んだこの探究ゼミの成果は、近隣の八王子の学校8校が集まったプレゼンテーションコンクールでの優秀賞の獲得や、中2有志のディベートチームがディベートの関東甲信越大会での快挙など確実に実を結んでいるといいます。特に印象に残ったのは今年東大に合格した佐藤くんが「探究ゼミで発表するために内容をまとめる力を養ってきたことが大学でとても役立っている。教科の勉強ばかりしてきた人にはその力がなく、自分に色々と聞いてくることに正直驚いている」ということ。探究ゼミは、卒業しても役に立つ、新しい力の一つとしてしっかりと根付いていると感じたお話でした。