第1回「偏差値」初めての中学受験 素朴なギモンに答えます

第1回

Q 偏差値がいろいろあってわかりません。

志望している学校があるのですが、本、資料集によってその学校の偏差値が違うのです。
どれを信用していいかわかりません。

A 偏差値はどのテストかで違ってきます。

お気づきかと思いますが、偏差値というのは学校が「うちに受かるにはこれくらいの偏差値が必要です」と提示しているものではありません。模擬試験を行っているテスト会社、大手塾が自分のところのテストで「このくらいの偏差値を取れていれば80%程度、50%程度は受かる可能性があります」という目安として出しているものです。

ですから、そのテストを受けている受験生集団の学力によって変わってきます。高学力層が受けているテストでは志望校として書く受験生がいない学校は判定されませんし、いたとしても30台といった低い偏差値がつきます。一方幅広い学力層が受けているテストでは最難関校は70台の偏差値がつきますし、易しい学校でも判定されます。

つまり偏差値はテスト会社ごとに算出しているものなので違いが出るのです。一例を挙げれば、A校 サピックス45⇒四谷大塚58≒日能研56⇒首都圏模試67くらいの感覚です。

もう少し突っ込んだ話をすれば、同じ学校でも入試回ごとに異なります。午後入試や後半の入試の方が高くなるケースが多いのです。2月1日午前は多くの学校が入試を構えているので受験生は分散します。そのため合格の可能性が高く、偏差値も低く出ます。午後や後半は2月1日に上位の学校を受けた受験生が受けに来るので高くなりますし、募集定員が少ないために合格が難しく偏差値も高くなります。

もう1つ。偏差値順はどの模試でも同じというわけでもありません。ある模試ではB校の方がC校より高くても、別の模試ではC校の方が高いというケースもあります。

さらに言えば、年度によって上昇したり、下降したりします。5年も経てばかなり異なる学校もあります。このようにお話しすれば、偏差値というのはあくまで相対的なものであることがお分かりいただけたかと思います。現時点の偏差値の1ポイント、2ポイントの違いなどほとんど関係ないので、偏差値の高低よりは学校の教育の中身、お子さんとの向き・不向き、お子さんの将来の姿などを考えて選ぶことをお勧めします。

プロフィール

中学受験の専門家 安田 理 先生
東京都出身。早稲田大学卒業。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。日本経済新聞、朝日小学生新聞、「進学レーダー」、「サクセス15」、ベネッセ「高校合格言」、まなび倶楽部、WILLナビ、moveonlineなど各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。著書に、「中学受験 わが子をつぶす親、伸ばす親」(NHK出版)、「中学受験 ママへの『個別指導』」(学研)などがある。

安田教育研究所ホームページ:http://www.yasudaken.com