【東京家政学院】のフードデザイン入試は、しあわせ学問・家政学の体験入試。

思考力入試

徳川家康が城の西側の守りのために、大番組という旗本を住まわせたことに由来する番町は、江戸時代は武家屋敷が立ち並ぶエリア。明治維新後は政府の役人や家族が暮らす邸宅街となり、英国大使館をはじめとする多くの大使館が進出すると、外国人のための教会やミッション系の教育施設が増え、インターナショナルな雰囲気が漂う都内有数の文教エリアとなりました。そんな千代田区の番町エリア(一番町から六番町まである)の三番町にある東京家政学院中学校は、校名に家政学を冠する、約100年近い歴史を誇る伝統校。併設大学もあり、親子三代にわたって同校に学ぶ生徒も多いといいます。

そんな東京家政学院中学校では、一般入試の他に、英語資格入試、プレゼン入試、フードデザイン入試、SDGs入試、適性検査型入試の多彩な新タイプ入試を実施。様々な個性を募ることで、多様な価値観が交わり、伝統校の“新しい伝統”を創出することに取り組んでいます。

そんな東京家政学院の学びの一つが色濃く反映された、フードデザイン入試について、中野先生にお聞きしました。

進路指導係 教諭 中野 実香先生
※撮影時のみマスクを外していただきました。

「フードデザイン入試」を導入された経緯は?

「本校には併設大学に東京家政学院大学があり進路の一つになっています。総合家政学は他校にない本校の教育の特色であり、それを反映するために高校2・3年次に一般の文系や理系大学に進む『リベラルアーツ』と『アドバンスト』コースに加え、『家政・児童進学』コースと『管理栄養進学』コースを設けました。その際に中学受験においても家政学に関心の高い生徒を募り、中学という入口から高校、そして大学を通して、家政学が好きな生徒を育てていきたいという趣旨で『フードデザイン入試』を導入しました」

「フードデザイン入試」は、どんな試験なのでしょうか。

「小学校5・6年生の家庭科の教科書の食生活分野にのっていることをテーマに、受験生とやりとりしながら模擬授業を進めるアクティブラーニング型の授業を受けながらの試験となります。模擬授業のテーマは、たまごを使ったタンパク質の加熱であったり、お米のアルファ化であったり、誰もが知っている身近な食材で『たまごの半熟、固茹で、温泉たまごの違いは?』『お米は炊くとどうしてやわらかくなるの?』など、楽しく学びながら、受験生はワークシートに記入し、グループワークも行ってポスターにして発表する試験です。試験時間は70分ありますが、受験生の状況を見ながら休憩を取り、段階を踏んで進んで行きますので緊張することなく受験できると思います」

https://www.youtube.com/watch?v=BSzDdwoXKPA

「フードデザイン入試」の採点のポイントは?

「アクティブラーニングですから模擬授業で受験生に知識や条件を与えて、それに対してどう答えられるかを採点する試験になります。料理は科学変化ですので理科が好きな受験生やグループワークも行いますのでコミュニケーションが好きな受験生にもおすすめしたい試験になります。ただ『お米の形を書いてみよう』など、身近な素材をテーマに選んでいるのは家庭での実体験を知りたいという部分もありますので食に関心が高いことが望ましいです。採点はルーブリック評価で行っています」

2021年度「フードデザイン入試」のワークシート。
模擬授業で聞いた内容を書き込んでいきます。

どんな受験生に受けて欲しいですか。

「建学の精神KVAの上に家政学があり、その上に時代が求める学びをアップデートしている本校では、入学後にまずマイかっぽう着を自分でつくり、りんごの皮むきから、ボタンつけ、玉留め・玉結び、スカートの裾上げなど、2科4科的な勉強だけではなく、お母さんが忙しくて教えられないかもしれない基本的な技術を教えます。社会に出て活躍する際も、料理が1品だけでなく、2品3品つくれる女性。小学生ではまだ自分の将来のことは未知数だと思いますが、『家庭科が好き』な受験生に受験して欲しいと思っています。マイかっぽう着づくりを最初は嫌がっていた生徒も、ふうふう言って大きな型紙を切って5ヶ月かけてマイかっぽう着をつくりあげると、達成感からか友達と大喜びしあっています」

家政学とは、どんな学問と思えばいいでしょうか。

「今は食事をミールキットやデリバリーで簡単に済ませることも、洋服をわざわざ繕うことなく消費できる時代ではありますが、自分の手でつくる手づくりの良さは永遠にあるものだと思うのです。もちろん時間がない時や体調がすぐれない時は便利を活用すればいいのですが、できる時は、料理を手づくりしたりお裁縫もする。その時間や技術は、豊かさの一つだと思うのです。それを自分のためだけではなく、大事な人のためにもする。そんな豊かさのお裾分けをすると、笑顔が広がり、自分も相手もしあわせな気分になる。夢の自己実現は、自分のしあわせ実現ですが、家政学は、周りと一緒にしあわせになることを考える“しあわせ学問”といえるのではないかと思います」

教えて!学校のこと 試験のこと

Q1 中学受験を考えはじめたのはいつ頃ですか? 受験のために何か準備をしましたか?

小学6年生の春ごろからです。東京家政学院の説明会での模擬授業に参加したり、家で積極的に料理をしました。

Q2 東京家政学院をどこで知りましたか? また東京家政学院を選んだ理由は?

お母さんから聞きました。東京家政学院の説明会に参加した時、先生方が優しく、家庭科や英語が楽しく学べると思ったからです。

Q3 試験の模擬授業を受けてどうでしたか? 難しかったですか?楽しかったですか?

初めはどういう問題が出るのか分からなかったので、不安もありましたが、実際模擬授業を受けてとても楽しかったです。

Q4 他の受験生と仲良く話せましたか? 発表はうまくできましたか?

緊張もありましたが、自分の思ったことを他の受験生に伝えることもできましたし、発表もうまくできました。

Q5 試験で印象に残ってる問題や出来事があったら教えてください。

紫キャベツのゆで汁による色の変化の問題で、青いご飯と白いご飯でドラえもんの顔を作ったのが印象的です。

Q6 入学してどんな毎日ですか? 入学後の印象や感じたことを教えてください。

学校生活は行事前など大変な時もありますが、とても楽しい毎日を過ごしています。入学後も、先生方は優しくていねいに教えてくれます。

取材Memo

家政学と勉強と
家政学中心の取材となりましたが、東京家政学院には『リベラルアーツ』と『アドバンスト』コースがあり、併設大学への進学が保証された上で難関校を目指すことができます。勉強ができて(キャリアがつめて)、家政学もできる(家のこともできる)二刀流の女性は、素敵な女性。自己実現だけではなく、しあわせ学問を学んだ東京家政学院の卒業生は、きっと豊かな人生を歩んでいるのではないかと感じた取材となりました。