第5回「男女別定員」初めての中学受験 素朴なギモンに答えます

第5回

Q 「男女別定員」って何?

都立高校の「男女別定員」が問題になっていますが、中学でも「男女別定員」ってあるのですか?

A 「定員」だけでは判断できない

「男女別定員」の背景
「都立高校の男女別定員」については私(安田)自身もあるテレビ局から電話取材を受けました。このテレビ局に限らずどのマスコミでも主として「ジェンダー秩序」の面から取り上げました。2018年に私立医大の入試で女子が不利に扱われたことの延長線上での議論でした。が私のように、なまじあれこれ知っていると、「ジェンダー秩序」の問題だけではない別の要素も複雑に絡んでいるので、とてもその視点だけでは論じられませんでした。 例えば、今は皆共学の都立高校も、歴史の古いところは戦前は男子校(旧制中学校)、女子校(旧制高等女学校)でした。そのため施設面、伝統行事、校風などが当然異なって、男子に人気の学校、女子に人気の学校が生まれます。私立中学高校だとなおさらその違いはハッキリしています。

平等ってどういうこと?
ちょっと素朴に、男女を「平等」に扱うとはどういうことかと考えてみましょう。

男女の合格者数を同じにする
合格ラインを男子100名、女子100名で区切ったとします。そうすると当然男女で合格最低点は異なってきます。どの学校も一律に男子の方が高くなったり、女子の方が高くなったりするわけではなく、男子に人気、女子に人気で倍率が異なり、それに応じて合格最低点も異なってきます。

男女の合格ラインを同一にする
もうひとつ、男女の合格最低点を同一にする、というやり方もあります。これだと年度によって入学してくる男女の人数が異なってきます。学校運営上年度により男女の人数が異なると支障が出るということが生まれます。結論から言うと、都立高校の「男女別定員」は段階を追ってこの方向で解決することになりました。

プロフィール

中学受験の専門家 安田 理 先生
東京都出身。早稲田大学卒業。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。日本経済新聞、朝日小学生新聞、「進学レーダー」、「サクセス15」、ベネッセ「高校合格言」、まなび倶楽部、WILLナビ、moveonlineなど各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。著書に、「中学受験 わが子をつぶす親、伸ばす親」(NHK出版)、「中学受験 ママへの『個別指導』」(学研)などがある。

安田教育研究所ホームページ:http://www.yasudaken.com