第2回「特待生」初めての中学受験 素朴なギモンに答えます

第2回

Q 家計的に「特待生」になってほしいのですが、それにはどうしたらいいですか?

これからコロナ不況が深刻になることを考えると、中高はできれば「特待生」で進学してほしいと思っています。入試時に選ばれると聞きました。どうすれば「特待生」になれるのでしょうか?

A まずは「特待生選抜入試」を実施している学校を

「特待生選抜入試」の実施
私立中学が特待生選抜入試(特待入試、奨学生入試ともいう)を行う理由としては次の2つがあります。
・少しでも学力の高い生徒に受験、入学してもらうために、「うちにくれば授業料が免除になりますよ」という特典を提示する。
・公立中高一貫校が次々と開校し、受験者も年々増加しています。公立中高一貫校は経済的な理由から公立中高一貫校がダメだったら地元の公立中学に進むというケースが多いのですが、そうした受験生も「特待生」になれれば私立中学に進学できます。
こうした入試の多くは上位校と併願してもらうために午後に行っているケースが多いのですし、一般入試で合格をとった後で、後半の「特待生選抜入試」にチャレンジできるというスタイルを採っている学校もあります。

一般入試での選抜
また特にそうした入試は行っていないが、一般入試の中できわめて成績が優秀な受験生を特待生にするという制度を採っている学校もあります。受験生にとっては、「特待生入試」は合格者はごく少数になるから受けにくいが、一般入試なら合格者数も多く、その中で好成績を採れば「特待生」になれるという安心感があります。

特待の中身の違い
「特待生制度」の中身は学校によって違いますし、また学校内でも何種類かあったりしますが、大きくは次の3種類です。
1.「入学金」のみ免除
2.「入学金(+施設費)」+「1年間の授業料」の免除
3.「入学金(+施設費)」+「3年間の授業料」すべて免除
入学試験の成績によって、こうした1〜3の違いがあるというシステムにしている学校が多いです。

「特待生」でなくなったときにも通わせられるか
これだけのメリットは大いに魅力です。親たるもの、わが子が「特待生」で合格してくれたら助かる、と誰もが思います。また「特待生」でなければ私立には進学させられないという家庭もあると思います。
ですからこうした制度のある学校だけを受験するという中学受験のしかたもあります。この場合には、子どもに「うちは『特待生』でなければ私立には進学させられない」ということをハッキリ話したほうがいいと思います。そのくらい大人扱いしていいのではないでしょうか。
運良く「特待生」合格して、その後も常に成績良好で、学年が進んでもそのまま「特待生」でいられれば何も問題はないのですが、スレスレの成績の場合には、子どもにはすごいプレッシャーになります。
ですから、「特待生」でなくなったら退学させるしかないというようなギリギリでの進学はやめたほうがいいでしょう。学校への納付金以外にも、通学の費用、制服代、部活動の費用、学校行事の費用など様々な費用がかかるので、ある程度の余裕を見ていただきたいのです。
高校に進学すれば、今は国の就学支援金に加え、各都県の授業料助成制度などがあるので、成績に関係なく学費負担は軽減されます。6年間を見据えて考えられるといいと思います。

プロフィール

中学受験の専門家 安田 理 先生
東京都出身。早稲田大学卒業。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。日本経済新聞、朝日小学生新聞、「進学レーダー」、「サクセス15」、ベネッセ「高校合格言」、まなび倶楽部、WILLナビ、moveonlineなど各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。著書に、「中学受験 わが子をつぶす親、伸ばす親」(NHK出版)、「中学受験 ママへの『個別指導』」(学研)などがある。

安田教育研究所ホームページ:http://www.yasudaken.com