【足立学園】の志入試で日本の明日を担う、ものが言える若者になる。

自己アピール型入試

北千住駅から徒歩1分の好立地に位置する足立学園は、1929年(昭和4年)創立の男子校です。都会の真ん中とは思えないほど落ち着いた学びの空間に、中高合わせて約1400名の生徒が集っています。学園では2017年度より、建学の精神『質実剛健 有為敢闘』をふまえつつ『志』を掲げた新しい教育への取り組みを開始。2020年度からは『志入試』を行っています。学園が『志』に込める想いを校長の井上先生と中学副校長の髙井先生に、志共育への具体的な取り組みや昨年実施したアフリカスタディーツアーについて志共育推進委員会委員長で海外研修推進委員会副委員長の原先生と、入試広報部部長の相澤先生に伺いました。

校長 井上実先生(左)と中学副校長 髙井俊秀先生(右)
※撮影時のみマスクを外していただきました。

『志入試』とは、どんな入試ですか?

「『足立学園で学びたい』というお子様を対象にした入試です。本校の教育方針や教育内容にご賛同いただいていること、本校を第一志望としていただくことが条件となります。試験内容としましては、事前にHPからダウンロードしたエントリーシートに①志望理由、②志につながる入学後の抱負や将来の目標、③自己PRをそれぞれ100字程度で記入し、通知表と一緒に提出していただきます。当日は、国語と算数の基礎学力のテストと親子面接を受けていただきます。テストは2科目合わせて50分、面接は約10分です。エントリーシートに記入する内容は、難しく考える必要はありません。夢や希望にプラスアルファで、お子様の想いが伝わることを書いていただけば大丈夫です」

『志入試』は、他県でいうところの推薦入試のようなイメージとのこと。『志入試』で合格を取った上で、特別奨学生入試にトライすることもできます。

なぜ「志」という言葉を使われたのですか?夢や目標とはどこが違うのでしょうか?

「自分は何のためにここにいて、将来、どう社会貢献していくのかを考えること。それが『志』です。例えば『医師になりたい』という生徒がいたとして『医師になって収入を得て、いい暮らしがしたい』というのは、『志』ではありません。大切なのは利他の精神。『社会に向けて何ができるか、人々のために何ができるか』が、重要です。社会に貢献して他を幸せにする。そして、そのこと自体を自分の幸せとすることができる。これが『志』の定義だと考えています」

自分には、何ができるか? 学園での「志」の授業は自らを見つめなおすところから始まり、立てた「志」はクラスで発表します。友人の意外な面を知って、感動したり驚いたり。「志」の授業は他者の理解にもつながっています。

『志』を掲げる狙いはどこにあるのですか?また『志共育』とは?

「10代の特に男子は、勉強しなさいと言ってもなかなか耳を貸してくれません。それは、彼らには勉強する意義がまだよく分かっていないからです。そこで、生徒達に『自分は社会に必要とされている人間で、社会の期待に応えるために、今頑張らなくてはならないのだ』という使命感を持ってもらうために取り入れたのが『志』です。単なる点数競争で大学へ行くのではなく、人間力を培って自分で何かを作り上げていくような人材(人財)を輩出することを教育の根幹に据えました。共育としているのは、教師も共に成長しているからです」

「志共育」は、4つのプログラム:体験、共育、探究、グローバルで構成されており、「守・破・離」の3ステップで段階的に生徒たちを育んでいます。教師が教えるのではなく、子ども達が自分の中にもっている「答え」に自ら気づかせ引き出すために、さまざまな仕掛けが設けられているのです。その仕掛けのひとつが、昨年暮れに実施した第1回アフリカスタディーツアーです。ツアーは、どのような内容だったのか。参加した子ども達は、そこで何を得たのか。志共育推進委員でありツアーを企画・同行した原匠先生と同行メンバーの相澤智子先生に伺いました。

志共育推進委員会委員長・海外研修推進委員会副委員長 原先生(左)と
入試広報部部長 相澤先生(右)

なぜ、アフリカに着目したのですか? また、今回のツアーの内容は?

「アフリカの人口は、2050年には世界の1/4を占めるまでになります。また、その大地は、アメリカ大陸やヨーロッパ、中国を合わせたよりも広いのです。諸問題も含めて、アフリカはまさに世界の縮図だろうと。私もアフリカに行ったことがありますが、百聞は一見に如かず。その現状を生徒たちに見せてあげたいと考えたことが、出発点です。2022年12月17日~25日、9日間の日程でタンザニアを訪れた今回のツアーには、中3から高2までの希望者9名が参加。北部中央から北西部をランドクルーザーで1周し、サファリツアーや農園見学、現地の学校やマサイ族との交流、市場見学などを行いました。さらに、ツアー期間中は、随時、現地と学園をMicrosoft Teamsでつなぎ、全校生徒に向けてリアルタイムに配信しました」

アフリカスタディーツアーに関しては、アフリカジャーナリストの大津司郎さんに企画段階から協力いただいたとのこと。ツアー内容も大津さんが作成した足立学園オリジナル・プログラムで、大津さんにはツアーにも同行いただいたそうです。

「アフリカスタディーツアー報告」は足立学園のHPに掲載されています。
https://www.adachigakuen-jh.ed.jp/archives/41761

ツアー前と後で、どのような指導が行われましたか?

「事前に5回+αの指導を行いました。最初に地理の教員が、地理・歴史・文化について講義。次に、大津さんにアフリカの現状や問題点を講義いただきました。タンザニア大使館訪問や衛生等に関する講義なども行いました。そのほか、関連図書を16冊紹介し、そこから1冊以上を読んだうえで研究テーマを決めて参加するように指導しました。帰国後の指導では、ちょうどいまレポートをまとめさせているところです。レポートは、全員の分を集めて報告書を作成したいと考えています。併せて、全生徒に向けた海外研修報告会も実施しました。また、タンザニア大使館に帰国後訪問も行いました」

帰国後訪問の様子は、タンザニア大使館のHPにも掲載されています。

ツアーに参加した生徒に、変化は見られますか? また、先生方のご感想は?

「大自然、環境、文化、生活、経済…五感を通して入ってきた全てに衝撃を受け『世界観が広がった』、『違う価値観を受け入れられるようになり、あまり怒らなくなった』などの感想があがっています。本校ではかねてから『異文化理解は非常識への敬意』だと伝えてますが、その意味するところを身をもって知ったのではないでしょうか。同時に、現地の同年代の子ども達と接して、人として変わりがないという深い部分にも気づいています。なかには、自分の歩むべき道を見出した生徒も複数います。とにかく、私たちの予想を遥かに上回る教育効果がありました。効果を踏まえ、このツアーは今後も継続する方針です。生徒たちからも『来年は?』、『僕も行きたいのですが』という声が上がっています。次回は、現地との交流や体験に力を入れて、よりよい内容にしたいと考えています」

ツアーに参加した生徒の貴重な体験が、今では全生徒に還元されているとのこと。大きな成果を上げたアフリカスタディーツアーですが、学園にはアフリカ以外に6つの海外プログラムが用意され、生徒ぞれぞれのニーズに合わせて選択できるようになっています。

海外プログラムでの体験や学びを全校生徒と共有する「海外研修報告会」

『志入試』の受験対策は、どうすればよいでしょうか?

「まずは、学校説明会にご出席ください。説明会では、校長が『志共育』や『志入試』について丁寧にお話しします。話を聞いた後でエントリーシートに取り組めば、書きやすくなります。なかには『志なんてない』というお子様もいらっしゃると思いますが、そんな時は親子でよく話し合って、本人のよいところを引き出してあげてください。ご家庭でのそうしたやりとりで、お子様の自己肯定感がより高まり、自分で選んで足立学園を受験したのだという気持ちが生まれます」

エントリーシートや面接に尻込みする受験生も見受けられるそうですが、臆することはありません。大切なのは、足立学園で学びたいという気持ち。真摯な気持ちが伝われば、十分なようです。

全ては生徒のために~足立学園教職員研修~
https://youtu.be/UaKD7K6xfyg

来年受験を考えている受験生や保護者へのメッセージをお願いします。

「生徒達をよい意味で生意気に、ものが言える若者に育てていかなければならないと私達は考えています。自分の意見を持っていて、相手が先生だろうと誰だろうと動じずに発言できるようになると、それが学力に比例していきます。生徒一人ひとりが、明日の日本を担っていくかけがえのない存在です。彼らのポテンシャルをしっかりと育んで、校訓にある『質実剛健 有為敢闘』な若者となって巣立ってもらえるように、6年間全力でサポートします。志共育に賛同いただけるのであれば、迷うことはありません。ぜひ、志入試で本校を受験してください」

足立学園ソング「Shine Adachi Gakuen」
https://youtu.be/z5_kkEYppwc

歴史ある男子校、しかも「志」を掲げた教育と伺って、取材に伺う前は硬派で男臭い学校を想像していました。ところが実際は、生徒の皆さんはじめ先生方も、校舎も、洗練されたスマートな雰囲気。さらに、真正面から全力で生徒達と向き合っていらっしゃる先生方の熱意あふれるお話に引き込まれたひと時でした。

教えて!学校のこと
アフリカスタディーツアーのこと

現在高校2年生のG.I.さんと高校3年生のT.N.さんにお聞きしました。

Q. 中学受験を考えはじめたのは何年生の頃ですか?

「小学5年生の頃です。当時は将来の夢や趣味といった夢中になれるモノが見つからず悩んでおり、中学受験を契機に新しい自分を見出せるのでは…という期待から受験を決意しました」G.I.さん
「小学5年生の時です。当時の自分は、周りの友だちに流される形で受験しました」T.N.さん

Q. 入学してどんな毎日ですか?

「騒がしくも楽しい日々です。受験前の授業見学や校内見学では、授業中、誰一人お喋りをせず真剣な表情で先生の話を聞いていた表情が強く印象に残りました。入学したら、私も彼らのような立派な足立学園生になれるか不安になりました。入学後、この印象は良い意味で裏切られました。少し怖いイメージを持っていた先生方はユーモラスで優しく厳しく、生徒たちもメリハリのある学校生活を心がけていると感じたのを覚えています」G.I.さん
「入学してすぐに部活に入りました。それからは、ずっと部活を中心に中学時代を過ごしました」T.N.さん

Q. アフリカスタディーツアーに参加して、いかがでしたか?

「人生に1度しかない貴重な経験ができたと感じます。私の人生でアフリカへ行く機会は今しかないと感じ、アフリカスタディーツアーに申し込みました。結果として、私の世界は大きく拓かれ、この選択は間違いではなかったと改めて再認識している次第です」G.I.さん
「今後の人生に絶対貢献すると思いました」T.N.さん

Q. ツアーで最も印象に残っていることは?

「朝市で露店を開いている女性に質問したのですが、彼女は12歳で1人目の子どもを出産したそうです。本やテレビなどで同じような話を聞いたことがありますが、それは私にとって非常に非現実的であり物語のひとつのように極めて他人事な感想をもっていました。実際に、この目と耳でお話を聞いた時の衝撃は筆舌に尽くしがたいものでした」G.I.さん
「本当のマサイ族の人たちと踊ったり、シャンプしたりしたことです」T.N.さん

Q. ツアーに参加して、何か変化はありましたか?

「私の世界が大きく拓かれたと感じます。参加前は海外にまったくといっていいほど関心を寄せていませんでした。日本という狭い価値観の中で生きていた私ではありますが、異文化に触れて私の価値観は星の彼方へと吹っ飛んでいきました。視野がとても狭かったと再認識しています」G.I.さん
「行く前と行った後では、自分の価値観や人生観、世界の広さについて持っていたイメージがまるで変わりました」T.N.さん

Q. 将来の夢はなんですか?

「いつか世界を回って、良いことも悪いことも全てを見て回るのが私の夢です。最近、苦手だった英語の勉強に熱を入れています」G.I.さん
「アフリカを世界有数の経済大国にさせることです。1回アフリカに行っただけでは足りないので、アフリカ専門の学部のある大学を目指します」T.N.さん

Q. これから受験生する人へのメッセージをお願いします

「自分自身が目指すものや夢に向かって努力することが、最終的な目標の達成につながります。そして、努力は必ず報われます。自分の力を信じて、自信を持って受験に挑んでください。月並みな言葉ですが送らせていただきます『がんばれ!』」G.I.さん
「住めば都。どこの中学、高校に行こうが、卒業した時には必ず『この学校は良かった』と思うのもです。もしも受験に失敗したとしても気を落とさずに前を向いて、学校生活を送ってください」T.N.さん

取材Memo

足立学園の個性が際立つアフリカスタディーツアー
コロナ禍でしばらく延期になっていたアフリカスタディーツアーが、ついに実施されました。どのようなスタイルであれアフリカへのツアーを行っている学校が、国内に果たして何校あるでしょう。足立学園らしい、素晴らしい試みだと思います。企画を実現するにあたって先生方には相当のご苦労もあったことと推察しますが、生徒のみなさんはもとより学園全体としても大きな成果が得られた大成功のプログラムとなったようです。

アフリカ スタディツアー参加者アンケート
「思い出に残ったアクティビティー」上位回答
・サファリツアー
・マサイ族集落訪問
・現地学校訪問
・コーヒープランテーション見学
・キャンプ滞在
・タンザニア料理