京王井の頭線で「渋谷」駅から2つ目の「駒場東大前」駅から徒歩約3分。都内有数の文教地区にある、日本工業大学駒場中学校・通称日駒(にちこま)は、大胆な学校改革と生徒ひとり一人を大切にする面倒見の良いサポートで進学校化をはかっている学校です。そんな進学型を強める日駒での6年間の学校生活や学習指導の実際はどうなのか、適性検査型入試が導入された年に入学した現在高校3年生の生徒さんお二人に話を聞きました。
教えて!学校のこと 試験のこと

※写真撮影時のみマスクを外していただきました。
日駒はどんな学校でしょうか?
S.Kさん:「先生がやさしくて面倒見がいい学校です。それと個性豊かな生徒が多く、いろいろな人間に出会える学校だと思います。その中で自分も友達もどう生きていくか、どう過ごしていくかをお互いに積み重ねていく中で大きく成長できる学校だと思います。また振り返ってみると学校に行きたくなかった日がなく、自分の家で過ごす時間より学校にいる時間の方が楽しい、そんな日常を6年間過ごせた学校です」
H.Iさん:「塾の仲間は女子校を受けていましたが、私は共学がよかったので日駒を受けました。私が入学した6年前は女子が少なかったのですが、周りの男子がとてもやさしかったです。生徒同士もそうですが、先生と生徒の距離が近くて話しやすい環境にある学校だと思います。先輩とのつながりも穏やかです」
日駒を初めて訪れた際の印象は?
S.Kさん:「建物のつくりが特長的で全部きれいで『何だここは!?』と思いました。椅子が自動で出てくる100周年ホールもすごくて、小学生だったので『こんなところがあるんだ』と感動しました」
H.Iさん:「プレテストで訪れたのが最初でした。小学生だったので学校に売店があることに驚きました」

※写真撮影時のみマスクを外していただきました。
日駒を受験した理由と併願校を教えてください。
S.Kさん:「家が近かったことと、水泳がやりたくて選びました。入学後は水泳部に入り6年間在籍しています。併願校は千代田区立九段中等教育学校です」
H.Iさん:「塾に通って適性検査入試の勉強をしていました。併願校は都立桜修館中等教育学校です」
適性検査型の問題はどんな出題だったか覚えていますか?
H.Iさん:「大問1が『じゃんけんの確率』、大問2が『オリンピックはなぜ今までアフリカで行われていないのか』、大問3が『中華鍋の熱伝導』の問題だったかと思います」
S.Kさん:「それに加えて、自動車の速度をテーマにした問題で、軽くすると早まるみたいなのがあったように思います」
日駒は、進学校に突き進んでいますがどう思いますか?
S.Kさん:「進学校を目指すのはいいことだと思います。4年前に学校に光風塾という無料(※一部教材費は除く)の塾ができたのもその一環だと思いますが、とてもハイレベルなことをしてくれるので助かっています。進学校として誇れるものだと思います」
H.Iさん:「私は光風塾に入りませんでしたが、光風塾に入ってなくてもここまでできるんだ!絶対に“光風生”に負けないぞ!という気持ちで受験勉強を頑張っています。今はちょっと負けてますけど」

光風塾では、どんなサポートをしてくれるのですか?
S.Kさん:「教科の中では英語の比重が高く、英単語は本当に何度もやらされ、そのおかげで身についています。またテストの回数が多いのでサボることができず、先生がフレンドリーなのですがカリスマ性があって、いくら辛くてもついていこうという気持ちにさせてくれるのもいいところです」
将来の夢はなんですか?
S.Kさん:「航空系か国際系に進みたいと思っています。航空系は中2で行ったカナダ短期留学で、こんなに大きな旅客機をたった2人で飛ばしているのがすごいと思ったのがきっかけです。また英会話の授業もとても楽しく、国際系にも進みたいという希望もあります」
H.Iさん:「将来の仕事はまだ悩み中ですが、大学の第一志望は国際系、ジェンダーについて学びたいと思っています」
日駒の入口はたくさんあります。
あなたはどの入試で本校にチャレンジしますか?

入試についてお聞かせください
「本校では、教科型入試、適性検査型入試、自己アピール型入試の3タイプの試験を行なっています。教科型の中の得意2科目は、文字通り得意な科目を2つ選んで受験できる試験で、ある教科がよくできる『良いところ』がわかれば、他は伸ばしてあげればいいという考えです。自己アピール型入試も、秀でた点があるならそれを伸ばし、他も伸ばすという考えです。表現力や創造力を問う適性検査型入試Ⅰ(国語)は、桜修館型か標準型か選べ、思考力・表現力・情報処理力を問う適性検査型入試Ⅱ(算数・社会・理科)とともに受験してもらいます。来年度は『良いところ』を見せてもらうためのプレゼンテーション入試も行います」

適性検査入試はどんな入試なのでしょうか?
「桜修館型は、2つの短文を出して比較させ、共通点と相違点を述べてから自分の考えを述べるという問題。標準型は、長文を一つ出して簡単な語句についての問題と、ストーリーを創作してもらう問題、自分の考えを述べてもらう問題が出題されます。適性検査入試は、将来のリーダーやトップランナーとなる人の入口になる試験にしたいと思っています」
適性検査入試の受験対策やアドバイスをお聞かせください
「本校の過去問を解いてもらうのは必須ですが、それ以外には学校生活や家庭生活で話題となったトピックについては、『自分はどう考えるか』を考える。理由を尋ねる癖をつけ、常になぜそうなのか根本的なことを考えるトレーニングを行い、自分の考えを人に話す練習を積むと良いでしょう。わかったつもり、話せるつもりが本当にできるかどうかの確認になります。一度自分の外に出すということはとても大切なことなのです。また自分の経験やエピソードを思い出してまとめておくと、解答の幅と深さを広げることにつながります。ぜひ取り組んでください。実践面では、時間を測り、どのくらいのスピードで文章を読み判断するのかの感覚を養うと良いと思います」
- 取材Memo
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光風塾だけじゃない学力アップの手厚いサポート
日駒が進学校化への取り組みをはじめたのは10年以上前。まず総合学習を充実させた上で、進学校化に必要なことを強化していったといいます。日々の朝テストや家庭学習のためのファイトノートなど、日々の学習習慣の定着を図るための地道できめ細やかな指導の積み重ねを継続しているからこそ、赤本の貸し出し校レベルが日東駒専からGMARCHにアップしているのだと思います。そして、そんな状況は光風塾があってもなくても変わらないと藤森先生はおしゃっていたのが印象に残りました。ローマは一日にして成らず。学力も一日にして成らず。日々の積み重ねこそが学力アップの基本であり、きめ細かなサポートがあってこそ学力が伸長します。長い時間をかけて築き上げてきた日駒の進学校化は、今後ますます実績を伸ばしていくことでしょう。