【八王子実践中学校】の適性検査型入試は、適性検査を熟知した先生がつくる質の高い問題。中学入試はすべて新タイプを導入した学校の魅力とは。

適性検査型入試

少人数制で、個性と才能を自由に伸ばす学校

「八王子実践」といえば、バレーボールの強豪校というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。高校女子バレーボール部は12回もの全国制覇を誇り、他にも吹奏楽部や書道部の活躍も知られるなど、部活が盛んで、高校は1学年15クラスもあるマンモス校です。

高校に比べ、中学の知名度は低めですが、実は少人数ならではのユニークかつきめ細かい指導・教育を行っている、知る人ぞ知る中学校です。中学入試も独自のスタイルを導入しており、2019年には、「中学受験をするのに、習い事をやめ、2科4科の勉強をして合格というのではなく、子供の可能性を見るのに、他の見方があるのではないか」との考えから、教科型の2科・4科入試を廃止しました。現在、同校への入り口はすべて新タイプ入試で、自分の得意を活かせる「プレゼンテーション入試」と、思考力・判断力・表現力から総合的な力を問う「適性検査型入試」の2つが用意されています。

今回は、八王子実践中学校の「適性検査型入試」について、在校生の体験談も含めてご紹介します。

希望者参加型の特別授業「J-Trial」。毎年大人気の液体窒素実験

八王子実践中が考える適性検査型入試問題とは

「適性検査型入試の問題は、2科4科の教科型入試とはまったく異なるイメージを持つ方も多いと思いますが、適性検査は2科4科の力、つまり基礎的な学力がなければできません。裏を返せば2科4科の力がある子は適性検査ができるのです。中学受験をするご家庭は4年生くらいから受験を考えると思いますが、2科4科をやりながら5年生くらいから適性検査の問題に触れて、6年生でどちらで受けるかを決めるといいと思います」。

作問には12名の教員が携わっており、長年に渡って他校の適性検査型入試の作問を行ってきた、エキスパートの教員も含まれているそうです。
「適性検査の作問で大切なのは、『何がいいたいか』をパッと掴めて『その表現は合っているか』です。これは受験生にも求められることですが、作問側もこれが読めない教員は、核心が掴めず問題を作れません。また、核心にたどり着いても『この設問でどんな答えが出されるのか』『その答えはこちらが求める答えにたどり着くのか』等々、教員同士がやり合って深めていくので、その過程が教員の知恵肉となり、それが授業にも反映されていきます。教えることと学ぶことは同じで、それは止まることなく進化と深化を続けていくものなのです」。

身の回りには考えるヒントがたくさん

適性検査型入試は、受験生がさまざまな視点から教科を横断して考える豊かな思考力や判断力、読解力、記述力を持ち、この先もこうした力を伸ばしていけるかどうかを判断する入試です。各学校で工夫をこらした設問を毎年作成していますが、八王子実践中学の問題は、「身のまわり」のことを知る大切さに着目しているそうです。
「身の回りのことを題材とし、それが問いに素直につながる問題が良問だと思います。本校の過去問には、円形と三角形のロボット掃除機を比べて、掃除できない範囲を考える問題があるのですが、これはまさに身近なことから入って、小学校で習った知識をもとに掃除できない範囲の出し方の考えを回答する問題になっています」。

学校説明会や入試問題解説会にはぜひ参加を

八王子実践の説明会や入試問題解説会では、出題の基本方針や模範解答、合格に向けての対策はもちろん、同校が考える教育についても詳しく伝えます。さらには過去問集の配布も行っています。

「本校の問題は、都立南多摩中等教育学校の併願受験を考えている受験生のための試験問題として出題しています。そのため、都立の併願を考えている受験生は、本校の説明会や問題解説に参加すると、受験対策としてとても役立つと思います。一方、適性検査型入試で本校に入学した生徒は、本校難関のJ特進への進学、そして難関国公立大学進学を目指します。都立南多摩中等教育学校の併願校をお探しの受験生は、ぜひ本校に足を運んでみてください」。

適性検査型入試に向く子とは

「知的好奇心がある子なら、4年生でも時間をかければ適性検査で解ける問題があります。ですから、2科4科の勉強の合間に、適性検査の問題を差し込んでみると、その子には、どのような入試タイプが向いているかが多少なりともわかると思います。適性検査の問題と正対でき、自分の思い込みでなく『この問題は何を問いかけているのかな』と考えられ、答えるための要素がきちんと整理でき、なおかつそれを正しく表現できる子が適性検査に向いていると思います」。

教えて!学校のこと 試験のこと

適性検査型入試を受験して入学したK.Aさん(現在 中学2年生)

Q1 中学受験を考え始めたのはいつ頃ですか?

小3の頃、父から「塾に行きたい?」と聞かれ、とくに何も考えずに「うん」と答えて入った塾が、公立中高一貫校の適性検査型入試の合格実績が高い塾でした。当時は中学受験の存在すら知らず、中学は地元の公立中に進むものと思っていましたが、父の勧めもあったので、とくに反発することもなく受験しようと思い始めました。

Q2 入塾し、勉強を始めてみていかがでしたか。

小3の頃は、授業も小学校の授業の延長のような感じでしたし、授業時間も短いので、受験のことはあまり意識せず学んでいました。塾で新しい友だちもでき、塾に行くのが楽しかったです。

Q3 八王子実践のことは、いつ頃知りましたか。

塾に行き始めてから、父に連れられて最初に学校説明会に行ったのが、八王子実践でした。父が第一志望校として勧めていたのは、都立南多摩中等教育学校だったのですが、なぜか最初に行ったのは本校だったんです(笑)。

Q4 八王子実践に来てみてどうでしたか。

とても大きな学校だと思いました。先生たちも明るくてやさしいし、とてもよい印象を持ったことをよく覚えています。また、先輩たちがiPadを日常的に使うことや、具体的な使い方を教えてくれて、すごいなあ、私も使ってみたいと思いました。その後も何度か説明会に参加し、問題解説会にも行きました。

Q5 他校の説明会にも参加しましたか。

都立南多摩中等教育学校と、もう一校、適性検査型入試を導入している私立中の説明会に行きました。合計3校行きましたが、私が一番気に入ったのは本校です。一応、都立を第一志望にしていましたが、少人数で学校の雰囲気もよく、安心感がある八王子実践のほうがいいなあ、と思っていたんです。

Q6 受験に向けて、どのような勉強をしましたか。

小3、4年のときは、社会と理科は基礎知識を学びました。塾の先生から、基礎知識がないと記述ができないと言われたので、とにかく基礎をしっかり頭に入れました。国語は読書をしたり、問題文を解いたり。算数も基礎の計算をたくさん解きました。でも塾で学ぶ受験対策用の算数は、小学校の授業よりずっと難しくて大変でした。塾で先生によく質問していました。

Q7 5年生くらいから適性検査型入試用の本格的な勉強に入ったという感じですか。

はい。算数も応用問題に入りました。社会や理科は、グラフなどを見て自分が感じたことを書く記述の練習をしました。国語は作文が苦手だったので、宿題だけでなく、お手本の文章をそのまま書き写す「写し書き」をやりました。
「写し書き」をすることで、文章の型とか接続詞が理解できるようになって、記述力のアップにつながりました。「写し書き」は、入試直前までやりました。

Q8 過去問はいつ頃から始めましたか。

都立の過去問は5年生から。八王子実践は6年の後半から始めました。

Q9 過去問をやってみていかがでしたか。

都立よりも八王子実践の方が、問題数が多いように感じました。ゆっくり考えていたらどんどん時間がなくなり、時間配分には苦労しました。

Q10 他にはどのような対策をしましたか。

ニュースをよく見ていました。最初は受験対策としてでしたが、ニュースを見ることで世の中のことがわかると視野が広がっていくことが嬉しくて、今もニュースを見ることが当たり前の毎日になっています。

Q11 試験当日はいかがでしたか。

午前中に他校の入試を受けて、午後、八王子実践の試験を受けたので、ちょっと体力的にきつかったです。理科と算数は苦手だったから、開き直って文系で頑張ろうと思いました。作文は、写し書きをしていたことが自信になり、うまく書けたと思います。

Q12 結果的に、八王子実践に入学することになったのですね。

八王子実践の合格を手にしてから都立を受け、結局都立は不合格でしたが、私は八王子実践に行きたいと思っていたので、第一志望の都立が残念でも、それほどショックではなかったです。

Q13 八王子実践に入学してみてどうですか。

説明会で感じた通りのイメージの学校です。みんな明るいし、少人数だから先生や友人との距離も近く、伸び伸びと学校生活を送っています。校外学習には三学年合同で行くのも楽しいです。
授業もとてもわかりやすくて、小学生のときは苦手だった算数が、中学で数学になったとたん、大好きな科目になりました。

校外学習で上野に

Q14 適性検査型入試で入学したことは、学校生活においてどのように役に立っていますか。

ニュースを見たり、読書をする習慣が身に付いていたので、社会の授業などでは「あ、これ知ってる」という話題も多いです。作文を書く力も、いろいろな教科で役立っています。

プレゼン入試で入ってきた友人は、自分の意見を述べるスキルがすごくて、発表を聞くだけでもすごく刺激になります。授業も先生から一方的に教わるのではなく、皆で意見交換しながらすすめていくので、私も皆の前で自分の意見を述べることができるようになりました。

Q15 適性検査型入試で受験する方にメッセージをお願いします!

満点を取る必要はないので、全部を完璧に解こうと思わず、できる問題をしっかりやれば大丈夫だと思います。私もそうでしたが、都立を第一志望にしている人がほとんどだと思いますが、入ってみると、八王子実践でよかった!と思える学校です。私は妹がいるのですが、今、妹は八王子実践を目指して頑張っています。妹が解いた問題を採点したり、アドバイスもしています。来年は、妹と一緒に学校に通えたらいいな、と思っているところです。

取材Memo

少人数制のメリットをひじょうにうまく活かしている学校だと感じました。
すべての生徒に目が行き届く教育、学年の垣根を超えた課外活動は、少人数だからできること。とはいえ決して過保護ではなく、生徒一人ひとりの個性を尊重しながら愛情を持って育ててくれる学校なのです。あまりにも有名な高校の陰に隠れて目立たない中学校ですが、知らないことで、志望校から外れてしまうのはもったいない。都立の併願校として考えたい、適性検査型入試の対策を知りたい、などなど、きっかけは何でもかまわないので、ぜひ説明会に足を運んで、八王子実践中学のことを知ってほしいと思います。



中高合同で行われる文化祭。
2024年度は約4000人が来場。受験生も参加できます。