新宿駅から京王線快速・区間急行で約24分。仙川駅は駅前に高層の建物がなく、小さなロータリーの先に親しみやすい商店街が広がる住みやすい街として知られています。大学も2つあり学生の街として、また安藤忠雄氏が設計した「東京アートミュージアム」や「せんがわ劇場」のあるアートの街としても知られています。
仙川駅から徒歩5分。1940(昭和15)年に設立された桐朋学園は、学びの基礎となる“ことば”をとても大切にしている学校。3回目となる今回の取材では、桐朋女子中学校の受験生の多くが受験しているA入試(口頭試問)について生徒さんにお聞きしました。
教えて!学校のこと 試験のこと
Q1 中学受験を考えはじめたのは何年生のいつ頃ですか?
「小学校4年の後半です」O.Mさん
「考えはじめたのは小学校3年生だと思います」0.Yさん
Q2 塾に通っていましたか?(通っていた場合はどの塾で何対策で)
「会員制の進学塾に通っていました。面接の練習もありました」O.Mさん
「塾には通っていませんでしたが家庭教師の先生に教わっていました。先生と過去問を中心に勉強しました」0.Yさん
Q3 桐朋女子をどこで知りましたか?また桐朋女子を選んだ理由は?
「母からすすめられて知りました。自分にあった校風だったので選びました」O.Mさん
「家庭教師の先生と母に教えてもらいました。文化祭や説明会に参加し、先輩方の様子を見て楽しそうに活動しているのを見て私もこの学校に通いたいなと思いました」0.Yさん
Q4 桐朋女子の学校説明会に参加しましたか?
「参加しました。先生たちは優しそうな印象で、生徒の方のスピーチを聞いた時に自分が好きなことをのばしてくれる良い学校だなと感じました」O.Mさん
「直接とオンラインの両方に参加しました。先輩方に学校を案内してもらった時にすごくしっかりされていると思いました。案内の最後に校門の前まで見送りいただいた際に『4月に会えるのを楽しみにしていますね』と言われて感動しました」0.Yさん
Q5 A入試は、どんな試験か受験前にどのくらいわかっていましたか?
「口頭試問がある事と、国語と算数のテストがある事を知っていました」O.Mさん
「過去問とホームページの動画を見ていたので、どのような問題が出るのかは分かっていました。口頭試問は他の学校にはなく、他の学校は学力を見るために試験を行なっているのに対し、桐朋女子は生徒の意見を大事にしていると思いました」0.Yさん
Q6 試験に備えて何か準備や対策を行いましたか?
「母と面接練習をしました」O.Mさん
「普段からニュースをテレビで見て、それに対してどのように感じたかを家族で話していました。母に面接官になってもらい口頭試問の練習をしました」0.Yさん
Q7 試験を受けた際に印象に残っていることがあったら教えてください。
「口頭試問は、暗い雰囲気なのかなと思っていましたが、間違っても訂正できたり、先生も笑ったり楽しく受けることができました」O.Mさん
「口頭試問は、問題にそっていない答えをした時も先生方が一緒に考えてくれて答えることができました」0.Yさん
Q8 入学してどんな毎日ですか? 入学後の印象や感じたことを教えてください。
「とても楽しいです!!みんなのびのびとしていて元気だと感じています」O.Mさん
「テストやレポートは多いのですが友達と助けあって、毎日充実しています。みんな部活動や学校行事など、コロナでたくさんできないこと、制限されているところもありますが、活き活きとしています」0.Yさん
Q9 大学はどんな方面を考えていますか? 将来の夢はなんですか?
「大学は自分にあったところにしようと思っています。将来は航空会社で働きたいです」O.Mさん
「まだ決まっていませんが、これから色々な事を経験して決めていきたいです」0.Yさん
Q10 これから中学受験をする人へメッセージをお願いします。
「大きな声で、自信を持って、質問に答えて見てください!!思っているより難しい試験ではないので楽しく受けてください!」O.Mさん
「大変な事がたくさんあると思いますが、色々な事に興味を持って、調べたり考えたりして毎日を過ごしてください。努力は必ず報われると思います。貴重な経験になるはずです!」0.Yさん
取材時に、「IDENTITY」という卒業生のコメントをまとめた小冊子をいただきました。その中に登場する卒業生の活躍の場は、医師、ミュージカル女優、コンサルティング会社、外資系企業の社長と多種多彩。きっと今回、取材させていただいた生徒さんも個性を伸ばし、思い思いの未来に羽ばたいていく、そんな印象を抱いた取材となりました。
もう少し教えてください!学校のこと 試験のこと
桐朋女子を検討されたい方々のために、桐朋女子の教育やA入試について、作問者のお一人である岩田教諭にお聞きしました。
Q1「ことばの力」を大切にする理由と目的をお教えください。
「『ことば』には、日本語や英語といった言語だけでなく、計算など、数学や理科を学ぶのに必要な「ことば」も含みます。学ぶのに必要なこれらの「ことば」を身につけ、それらを使っていろいろな人と関わり合いながら積極的に学ぶ。視野を広げ、思考を深め、粘り強く立ち向かい、未知のものにもひるまずに取り組む。そんな過程から、創造力が生まれます。
ひとりひとりの生徒に桐朋女子での教育の中で『ことばの力』を育み、それを創造力につなげていってほしいという考えからこの言葉を大切にしています」
Q2「Learning by Doing」と「〜」に込めた想い、メッセージをお教えください。
Learning by Doingについて
「12歳から18歳という人の大きく成長する時期に、自分で自分を育てる意識をもって学校での学びにあたってほしい。桐朋女子には多くの経験の場(本物にふれる体験型の学びや活発な学校行事など)があり、その経験を通じて様々な物事に取り組む姿勢を培い、自分を育てていってほしいという想いを込めています」
「〜」について
「桐朋女子での学びは決して一人で成り立たせることのできないものであると考えています。生徒から教員、教員から生徒、生徒から生徒など、人と人とのつながりや対話を通じて様々なことを学んでいきます。また、学びにおいて結果に至る過程をとても大切にしています。人と人との関係性や、過程に寄り添うその姿勢を~という記号には込めています」
Q3 1970年から採用しているA・B・Cブロック制と内容は、進化しているのでしょうか。
「ABCのそれぞれのブロックにおいて目標を設定し、それぞれのブロックが一つの学校のようなイメージ(各ブロックには一つずつ職員室もあります)で、生徒たちは学校生活を送っています。特にCブロックでは生徒1人ひとりが自分の進路や興味・関心と真剣に向き合い自分に合った時間割を作成します。自分の選択に責任を持ち、主体的な学びにつながっています」
Q4 桐朋女子は、どんなお子様にあった私学でしょうか。
「桐朋女子の生徒は本当に多様です。本が好きな生徒、運動が好きな生徒、部活に一生懸命な生徒、勉強に一生懸命な生徒。その一人一人が、互いに認め合い、刺激を与えあいながら学校生活を送っています。そんな桐朋女子の一員として、何かに一生懸命取り組みたいという気持ちをもってくれた、どんなお嬢様にも桐朋女子はぴったりの学校であると自負しております」
Q5「A入試(口頭試問)」は、どんな受験生にあった入試でしょうか。
「授業や普段の生活の中で、『なぜ?』『どうして?』という疑問を持ち、考えること、理解することを大切にし、未知のことがらを『学ぼうとする意欲』を持った受験生。また、学んだことを自分の中に落とし込み、自分の考えを口頭で表現できる受験生ではないでしょうか」
Q6「A入試(口頭試問)」の受験対策は?
「口頭試問では、受験生(小学生)にとって未知のことがらをテーマに取り上げることが多いです。そのため、知識を詰め込むような対策はあまり意味がありません。『準備室』と呼ばれる教室では、授業の形式や文章や資料を読み進める形式でテーマについての学習をします。ですから、まずは授業を聞く力を鍛えましょう。そして、授業や普段の生活の中で学んだことに対して、『なぜ?』『どうして?』という疑問を持ち、それについて自分で調べたり、友達と一緒に考えたり、身近な大人の方に聞いてみたりして、学びを深めていく習慣をつけることが大切です」
Q7受験生と保護者へのメッセージをお願いします。
「桐朋女子の教育は入試から始まります。そして、口頭試問は桐朋女子で受ける最初の授業です。口頭試問を通して、みなさんと一緒に先生たちも学んでいます。ぜひ楽しみながら『準備』と『試問』を受けてほしいと思います。桐朋女子で一緒に学び、一緒に成長していきましょう」
- 取材Memo
-
教育は入試からはじまる。
「テストは判決ではない。レントゲンである」と定期試験を50年前に廃止。桐朋女子では、通知表も点数制ではなく、生徒が自分を振り返って書いたコメントをもとに先生と面談する「成績伝達⾯談ノート」で行われます。口頭試問も昭和30年代から続けられている試験であり、教育目標から生まれた施策やプログラムは、独自でありながら知れば知るほど得心できるものがあります。下記ビデオは、そんな桐朋女子の教育や口頭試問について校長今野淳一先生が語ったものです。30分でも語り尽くせない桐朋女子の魅力を知る一助として、ぜひご覧ください。