埼玉県の公立中高一貫校受検生のみなさん、その力を大妻嵐山の「適性検査型入試」で活かせます!

適性検査型入試

今年で中学開校20周年。伝統ある大妻学院のスピリットを受け継ぐ同校の建学の精神は「学芸を修めて人類のために〜Arts for Humankind〜」、そしてスローガンは「らしくあれ〜自分らしく、まっすぐに。〜」です。比企丘陵の一角にある同校は、圧倒的な自然に恵まれた環境のなか、「社会でできる人」を育てる教育を展開しています。そのために、「探究する力」「表現する力」「感じる力」「自ら学ぶ力」の育成を目指しますが、中1で国蝶・オオムラサキの観察&飼育を実施するなど、とくに「サイエンス」と「グローバル」教育に力を入れながら、社会貢献活動も積極的に実施しています。その同校が、2024年に「適性検査型入試」を新設します。そこに込める思いを、校長の榎本克哉先生に伺いました。

■「社会でできる人」になるための素養が身につく嵐山の6年間

校長の榎本克哉先生
※撮影時のみマスクを外していただきました。

「適性検査型入試」を来年度から新設されるにあたり、まず、御校の教育哲学とその風景をみなさんにご紹介したいと思います。校長がおっしゃる「嵐山の志はヒューマンスキルに尽きる」 についてお聞かせいただけますか。

「大妻学院の創立者である大妻コタカが、女性の自立を目指して私塾を開設してから110余年が経ちますが、今の時代に相応しい形で人間力の涵養を目指すことが私たちの使命だと考えています。その一環として、地域や社会に貢献する活動「SSR(School Social Responsibility)」を行っています。基礎学力はもちろんすべての基盤になりますが、数多くの経験から導き出される数値化できない『心の力』、一歩を踏み出す力を生徒たちに身につけさせることが最も重要だと思っています」

来年度新設される「適性検査型入試」では、受験生が持つ人間力のポテンシャルを見たいということでしょうか。

「そうですね。近年、『GRIT※』という言葉がよく使われますが、これは『やり抜く力』という意味です。アメリカのペンシルベニア大学の教授が提唱するものですが、数値化できるIQだけがその人の優劣を決めるのではなく、GRITが大事なのだと。また、世界的に成功している人たちに共通しているのはGRITを持っていることだとも。このやる気、ガッツというものは、後天的に伸ばすことができるものです。ですから、インプットした知識だけでなく、その場で諦めずに自分で考え、課題を見つけ出していく潜在力を見せてもらいたいと期待しています」
※GRITとは、Guts(度胸)・Resilience(復元力)・Initiative(自発性)・Tenacity(執念)の頭文字をとったもの。

御校はグローバル教育とともに、理科が苦手だった生徒さんが 御校の授業で目覚め、「日本学生科学コンクール※」で 文部科学大臣賞を受賞するなど、サイエンス教育も充実しています。 また、他者を理解し尊重する姿勢と、自分の行動を律する強さを 身につけるために「論語講座」も設けています。 この「グローバル&サイエンス&論語」を土台に人間力を涵養する教育で、 生徒さん方はとても豊かに育っているようにお見受けします。

※「日本学生科学コンクール」は、中高生対象の国内最高峰の科学コンクール

「生徒自身の自発性、『やる気』があるからこそですが、学びの場、成長する場を数多く用意していることは、ちょっと誇れるかもしれません(笑)。学校説明会では、本校が大切にする3つの『To do』についてお話しさせていただくのですが、考え抜く力や前に踏み出す力、対人関係力などは社会で活躍するために必須のジェネリックスキルです。そのような人間力を磨くことを最も大切にしたいと考えています」

■大妻嵐山の3つの「To do」

❶大妻スピリットで、凛とした品格ある校風を自ら支える
学祖・大妻コタカの教え「恥を知れ」とは、人に見られたり聞かれて恥ずかしいことをしていないか自分を戒める言葉だが、日常での礼儀や思いやり、感謝の心や謙虚さなどを大切に、上質な学校生活を送る。

❷社会貢献活動
「知っている」ことと「できる」ことは違う。だからこそ、実際に多様な経験を積み重ね、そこから育まれる行動特性によって「社会でできる人」になる。

❸サイエンス&グローバル
理科教育そのものの充実はもちろんのこと、「サイエンス」では教科の枠を超えて科学的アプローチを用い、変化し続ける時代を生き抜くスキルを身につける。そして「グローバル」では語学力だけではなく、思考力や表現力、また主体性を持って多様な人々と協働するスキルを身につけていく。

「To do」の2つ目にある社会貢献活動もとても活発ですが、生徒さん方が地域のお祭やイベントにスタッフとして参加されたり、近隣の小学生(男子も含む)を招いてさまざまなイベントを行う 「わくわくワークショップ」も大好評です。

「今年の6月からは『嵐山チャレンジプログラム』と称して、土曜の放課後に近隣の史跡博物館や保育園などの方々にご来校いただき、ボランティア活動を呼びかけていただくことになりました。そうすることで、自分ではなかなか一歩を踏み出せない生徒も動きやすくなります。また、特別支援学校などとの異校種交流も考えています。『拙速は巧遅に勝る』の格言通り、どうしようかと悶々としているより、たとえ当初の思いと違う方向の結果になったとしても、行動したほうがいいと思っています。生徒たちの中にもともとある優しさや感謝の心をもってすれば、何か役に立つことができるはず。社会と繋がる力を育てていくことができると思っています」

生徒が主導する「わくわくワークショップ」で小学生と一緒に

■大妻嵐山の教育の意義

生徒さん方の貢献意識を育てるだけではなく、埼玉県内の中3生を対象に実施している「高校選択セミナー〜失敗しない高校選び〜」には、御校ご自身の強い社会貢献意識を感じさせられます。これは社会貢献事業として実施されているとのことですが、その思いをお聞かせいただけますでしょうか。

「単体としては小さな学校である本校が、自力のある他の伝統校などと伍していくためには、新たな社会的価値を創出する役割を担う存在にならないといけないと思っています。これは高校受験生応援プロジェクトでもありますが、結果的に地域や社会に繋がっていくものだと思います」

新設の「適性検査型入試」は「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」の構成で、基本的に作文はないとのことですが、どのようなものになるのでしょうか。

「埼玉という地域性に着目し、受験生が身近に感じられる素材を扱った問題にする予定です。本校の教育のカラーを出すというよりも、もっと汎用性の高いものになります。ですから、公立一貫校の受検生のみなさんにとってもチャレンジしていただきやすいと思います。本校のホームページにサンプル問題を掲載していますので、ご覧になってみてください」

■「適性検査型入試」募集要項

●試験日程:2024年1月11日(木)午後
●募集定員:30名(一般入試との合計)
●試験科目:「適性Ⅰ」「適性Ⅱ」
●試験会場:大妻嵐山中学校または大宮ソニックシティ(出願時に選択)
●特待生制度:A・B・C (※A=入学金全額+1年間の授業料全額の給付
B=入学金全額の給付 C=入学金半額の給付)

では最後に、御校の「適性検査型入試」を受けようと考える受験生が、 今から準備できることについてアドバイスをいただけますか。

「適性検査型入試」のサンプル問題

「とくに準備は必要ありませんが、普段から些細なことでいいので、ご家族で会話をしてほしいですね。そこに、子どもの力を引き出す何か大きな要因があるように思います。ちなみに、本校の生徒はわりと親子で会話しているようですね。お父様方が学校に関わってくださる『おやじの会』もあるのですが、娘さんと共通の話題をつくるためかもしれません(笑)。ゴルフやキャンプ、釣りなど、おやじの会にはクラブ活動もあるんですよ。保護者の方も努力し、娘である生徒もそのことをわかっている。そういうお互いを理解しようとする関係性は、生徒のこれからの人生にとって大きな基盤になると思います」

在校生の保護者の方の声をご紹介します

●K・Mさん(中1の保護者)

生徒の「自主性を重視」した教育を実践する学校です

わが家が大妻嵐山を選んだのは、大学受験や将来の活動を見据えた教育方針と、中高6年間の教育プログラムに共感したためです。入学前は、私立の女子校ということもあり、教育や躾などに関して指導が厳しいのではないかと思っていましたが、入学してみると、規範意識の育成や勉強に関しては学校の指導もさることながら、生徒の自主性を非常に重視していると感じます。
娘は海外に興味を持ち、将来は海外に行くか、もしくは英語を活用して海外の方と接することに関心があるようです。その点で、大妻嵐山が英語教育や海外留学などの国際理解教育に力を入れている点は娘の関心と合致しています。
また、生活面や勉強面において自ら考えて行動するようになり、時には失敗もしますが、その失敗の原因を探って反省し、次の機会に反映できるようになった気がします。おそらく、日々の学校での指導の賜物ではないかと思われます。先生方の公開授業研究会も拝見させていただきましたが、学校全体で教育に熱心に取り組んでいると思います。
娘には、自分の力を信じて世の中に貢献できる、自立した女性になってほしいと思います。

4年ぶりに開催された体育祭で。熱気が最高潮に達した応援合戦!

●S・Mさん(中2の保護者)

「他者の気持ちに寄り添って行動できる」力が育っています

大妻女子大学の附属校ということで、女性教育の第一人者である大妻コタカ先生の教育理念に共感し、女性の活躍推進に繋がると信じて志望しました。世界に目を向け、探究する力や表現する力をわが子に身につけさせたいと思ったからです。とことん納得できるまで学校の様子を見たいと思い、小学校6年生の時に「オープンスクール」「わくわくワークショップ」など、参加できるイベントにはすべて参加しました。その中には、娘の興味を引く実験などが数多くあり、「この学校に入ったら、いろいろな実験ができるんだ」と感じたようです。私自身も在校生のみなさんがとても礼儀正しく、小学生である娘たちに優しく丁寧に教えてくれる印象を持ったので、将来、娘もこんな高校生になってほしいと思いました。
入学後にさらにわかったことは、先輩方の後輩への面倒見が想像以上に良いことでした。体育祭でも大妻祭でも部活動でも、そしてスクールバスの中でも、高校生の先輩方が中学生のお世話をしてくれていることが、娘との会話からよくわかりました。娘は表立って自分から何かをするタイプではありませんが、廊下の小さなゴミも拾うなど、「誰かの役に立ちたい」「困っている人を助けたい」という思いが強く、争い事が嫌いなタイプです。誰かのためにという思いから生徒会活動に興味を持ち参加しましたが、そこでも先輩方に良い影響を受けており、理想や目標を身近に感じているようです。公立中学校では高校生と直に接点を持つことができませんので、中高一貫のメリットだと改めて感じました。
特に中学2年生になってから、娘と会話する中で感じるのですが、娘自身が先生やお友達、先輩や後輩など、周囲の人の気持ちを理解しようとするようになってきたと。批判や否定をせず、相手の立場で考えることができるようになってきたと感じています。大妻嵐山での「他者理解を深める」教育、「どのような場面でも他者の気持ちに寄り添って行動できる思いやりの心を」という教えの成果ではないでしょうか。
教育理念に関しては、家族3人で体験イベントや説明会に毎回のように参加し、納得したうえで志望したので満足しております。先生方もよく見てくださっており、「もう少し欲を出してもいいんじゃない?」などと適切なアドバイスをいただいているようです。先生方から声をかけていただくことで、娘のやる気もアップしています。
夢というほど大げさではありませんが、娘は高校3年生になるまでの4年ちょっとの間で、最近始めた弦楽器の演奏を「嵐山カンタービレ(校内の音楽イベント)」で披露したいと思っているようです。親としては、娘には人として人の痛みがわかり、しっかりと自分を持っている女性に育ってほしいと願います。

●A・Sさん(中3の保護者)

積極的になり、「人前で自分の意見が言える」ようになりました

説明会など学校を訪問した際、校長先生や先生方のお話を伺って教育方針に惹かれ、生徒の方々の印象がとても良かったので大妻嵐山を選びました。入学前は、生徒を第一に考えて手厚く指導してくださるイメージでしたが、実際もその通りで、丁寧に指導してくださっています。
娘は明るく元気な性格です。今後の進路に関心があるようですが、先生方も娘の性格を把握したうえで指導してくださっていると感じますし、疑問に思っていることを相談すると、親身になって一緒に考え、見守ってくださるところが娘にはフィットしています。
娘は入学後、今まで以上に積極的になり、人前できちんと発言したり、意見を言えるようになりました。それも、生徒一人ひとりが参加できる行事や授業内容の成果だと思います。また生徒に対して、愛情をもって指導してくださっていることを親も娘もとてもありがたく思っています。
将来は、リーダーシップだけではなく、人の気持ちや意見を聞き、女性らしい礼儀を身につけた女性に育ってほしいです。そして何事にも前向きに、自分の足で進んでいってほしいと願っています。

取材Memo

一貫して「社会貢献への志」を醸成する学校
入学したての頃はおとなしいタイプの生徒が多いものの、先生方が一人ひとりを見つめ、その生徒に相応しい形で背中を押すと、生徒たちは果敢にチャレンジしていくそうです。最初は先生の手を借りながら一歩一歩階段を登り、そのうち自分の足で、自分のペースで行動し始める。校長のお話からは、さまざまな体験を重ねていくうちに、「らしくあれ〜じぶんらしく、まっすぐに。〜」のスローガン通り、自分を肯定し、他者を理解し許容しながら、「謙虚に学ぶ姿勢」と「貢献意識」を培っていく生徒たちの様子がリアルに伝わってきました。授業力向上を目指して研究授業を実施するなど、真摯に学び続けているのは先生方も同じ。その姿を見ているからこそ、生徒たちはまっすぐに歩んでいくことができるのだと感じさせられました。


中1の自然観察会にて。
隣接するオオムラサキの森は、国蝶・オオムラサキの自然生息地