12種類の入試方法がある、順天堂大学系属理数インター中学校。そのうち「適性検査」は同校生徒の過半数を集める入試です

適性検査型入試

都内屈指の名刹、宝仙寺を運営母体とする宝仙学園。2024年4月には順天堂大学との系属校協定により通称名を「順天堂大学系属理数インター中学校」としました。そして2025年には医学部進学を見据えた「医学進学コース」も新設。つねに進化を続けている同校では、学校を「知的で開放的な広場」ととらえ、そのなかで「自己ベストの更新」をする生徒を育てることを目標としています。

そんな教育理念はもちろん、同校の特徴として挙げられるのが入試方法の多さです。適性検査型の私立中入試のなかで都内最大級の出願者数となっている「適性検査入試」を中心に、2科、4科の教科型入試はもちろん、「読書プレゼン入試」、「リベラルアーツ入試」など、12種類の入試をラインナップ。早い時期から受験勉強をせずともトライできる学校として人気を集めています。今回は、その12種類ある入試のなかから「適性検査入試」で入学した5名の中1の生徒さんたちに、入試、そして学校生活についての話を聞きました。

様々な入試方法で入学してくる生徒たち。中1の春はまずその個性の違いに驚くことから始まります

学校法人宝仙学園 順天堂大学系属理数インター中学校の「適性検査」入試要項
●試験日程:第1回:2026年2月1日(日)午前
      第2回:2026年2月2日(月)午前
      第3回:2026年2月4日(水)午前
●試験科目:適性検査Ⅰ(作文)、適性検査Ⅱ(総合問題)、調査書

2026年度募集要項
https://www.hosen.ed.jp/contents/wp-content/uploads/2025/06/bosyuyoukou_jhs_20250610.pdf

まずは、数ある私立中のなかから、この学校を選んだ理由を教えてください

取材に集まってくれた中1の生徒さんは5名。みなさん、第1志望は都立か国立で、私立は第2志望校として選択したというメンバーです。数多くの私立中のなかから、順天堂大学系属理数インター中学校を選んだ理由を聞いてみました。

S・Mさん「お母さんにすすめられました」

K・Mさん「私も家族にすすめられて、自分でもホームページを見たりして、通いやすそうだと思いました」

A・Yさん「私は将来の夢が医者になることで、この学校には医学進学コースがあるのを知って受験しようと決めました」

I・Rさん「僕は理科と数学が得意なので、そこに力を入れている学校を探して、ここがいいなと思いました」

M・Kさん「僕は小学校から野球をやっていて、中学でも部活を頑張りたかったので、勉強と部活の両立がしやすそうな学校だなと思って受験しました」

都立、国立が第一志望となると1校しか受けられない。そこで、これまで身に着けてきた力で受験できるほかの学校(私立)も受験したい、そんな思いでこの学校にたどりついたことはみなさん共通のようです。

写真上からS・Mさん、K・Mさん、A・Yさん。
みなさん吹奏楽部に所属する仲良しメンバー

「適性検査入試」での入学者が過半数。数ある私立中のなかでも珍しいケース

この学校の特徴として挙げられるのが、「適性検査入試」で入学してくる生徒の割合が過半数以上と、目立って高いことです。2025年入試の結果を見てみると、入学手続きをした182名のうち、85名が適性検査によって合格、つづいて教科型が57名、新タイプ入試が25名となっています。ほかの多くの私立中学では教科型で入試を突破してくる生徒の割合が高いなか、珍しいケースです。
それぞれの入試を経て集まった、1学年200名弱の生徒たち。4月の入学後は、生徒同士で「どの試験で合格した?」という話題もよくでたそう。S・Mさんは、「プレゼンだけで入ってきた友だちの話を聞いて、カルチャーショックだった」と明かしてくれました。
また、昨年の試験問題についてたずねてみると、この学校の特徴を感じとれる出題があったそうです。「出題文のテーマが、人と人との関わりについてだったんです。だから、人間関係を大切にするのが、この学校の方針なのかなって思いました」(S・Mさん)、「数字遊びのような問題が出ていて、授業で数学を楽しめる学校なのかなって期待しました」(I・Rさん)。なるほど、“入試問題は、学校からのラブレター”とはよく聞く例えですが、まさにその通り。テスト問題を解いていておもしろい! そんなふうに思える学校に出会えた受験だったことが伝わってきます。

写真左から、卓球部所属のI・Rさん、野球部所属のM・Kさん

行事がとにかく楽しい学校。授業ではプレゼンの機会が多く、発言力がついてくる

入学後の9か月間で行われた大きな行事は、体育祭、林間学校、宝仙祭などがあります。どれも小学校時代と比べると大規模なもので、驚きの連続だったと言います。なかでも、2泊3日の林間学校(富士山)では、宿泊施設の豪華さに驚いたという、中1らしい感想が。

I・Rさん「部屋が和室じゃないんですよ! 寝る部屋がふたつもあって、人数分のベッドがあって、ほかにキッチンも冷蔵庫もテレビもある、どっちを見てもびっくりでした(笑)」
宝仙祭(文化祭)では、クラスごとに決まった予算が割りふられ、自分たちで運営するという初体験も。

A・Yさん「クラス予算が3万円なんです。その予算をどう使うかってことからみんなで話し合って決めていくので大変でした。私のクラスでは、教室の幅が何メートルだから段ボールが何個必要とか、全部計算して材料をそろえたのに、結果、間違っていて。一度、計画が崩壊しました(笑)」

そして、同校の授業の特徴としてプレゼンの機会が多いことも、彼らの成長を促しているようです。

S・Mさん「私は小学校の時、人前で発表するのがすごく嫌い、苦手でした。でも、この学校に入ってきて、授業内で『読書プレゼン』『英語プレゼン』など、本当にたくさんの機会があって、慣れてきちゃって(笑)。逆に、いまはプレゼンのある授業がすごく好きで、早くその時間がこないかなって思っています」

プレゼンの場を増やすことで発言力を磨いていく、それが同校の教育の特徴でもあります。彼らもまたその機会を楽しみ、力をつけていく過程にあるようです。

進学実績の高さが光る同校。勉強面では大変なことも?

こんなふうに中1らしく学校生活を楽しんでいる彼らですが、勉強面でのつまづきはないのでしょうか?というのも、「入試方法が多い学校」につづいて同校の特徴といえるのが、進学実績の高さです。推薦や総合型選抜で大学入学を決める生徒は少数派で、8~9割の生徒が一般入試を選択しています。そして、3年連続で東大現役合格者を出し、早慶上理に104名合格という昨年度の実績には、目を見張るものがあります。ただ、受験生たちがそれを知っていれば、入学後に勉強についていけるかと不安になることもあるのではないでしょうか。

A・Mさん「入学前は授業スピードが速いだろうから、ついていけるのかな?って思っていました。でも実際は、たとえば数学の授業では、わからないって言ったらわかるまでちゃんと教えてくれます。だからテストでも答えられるし、すごく教えることに特化した学校だなって思います」

I・Rさん「入学前の印象は、先生も厳しくて、生徒も真面目な人が多いのかなって思っていました。でも逆でした。先生も優しくてわかりやすいし、友だち同士のおしゃべりも楽しいし、勉強も教えあっています。本当に過ごしやすい学校です」

「友だちに教えることで、自分にも説明する力がついてきた」という声も。みなさん勉強に対しても前向きで、それぞれに工夫している様子がうかがえます。

K・Mさん「朝の通学時間が増えたので、その時間を活かすようになりました」

M・Kさん「登校時間が小学校とは違って幅があるので、早めに登校して朝の時間でバッと宿題をやったり、効率的に使っています」

そして勉強面以外でもこんな成長が。

A・Yさん「私は中学生になって、リーダー性みたいなものが出てきたと思います。いま合唱祭の練習をしているんですが、『声の大きさ、ここはこうしよう』とか、自分たちで考えた改善点が実際に評価されたことがうれしかった。リーダーといっても、決まった役割の人が頑張るのではなく、みんなで意見を出し合って進められているところが、小学校時代とは違うところかなと感じています」

最後に、これから受験を迎える後輩たちにメッセージを

K・Mさん「私は1年だけ頑張ろうって決めて小6から受験塾に通い始めましたが、一時期、塾にただ通うだけみたいになってしまって。でもこれじゃダメともう一度頑張って、この学校に合格できました」

S・Mさん「私は直前期に朝から晩まで休憩なしで勉強していることがあって。そういう時って、親に当たっちゃったりするんです。私はこんなに頑張ってるのに!って。でも思い返せば、そんなに焦る必要もなかったし、支えられてるってことを忘れずに受験を頑張ってほしいなと思います」

I・Rさん「僕は小4の後半から塾に通い始めて、小5までは毎日、とりあえず勉強の時間はとっていました。でも小6になって受験が近づくにつれて、焦りでなにをすればいいのかわからなくなってしまった。そんな時、塾の先生が、ひとつひとつ順番にやっていこうって手伝ってくれました。焦らないことが大事だなって思いました」

M・Kさん「僕は小6の8月くらいまでは頑張れていたんですけど、そのあと塾の時間も長くなってつらくなってしまって。友だちと遊んじゃった。そうしたら模試の結果が大変なことに。これはまずい、もう一度ちゃんとやらないと!と思いました。そういう時期はみんなあると思うんですが、自分が報われることを信じて頑張ってほしいと思います」

A・Yさん「小6になって塾の時間が増えて、長時間勉強するのがつらくて。秋くらいまでは、塾に通ってはいるけど、話は聞いてません、みたいな状態で。でも私の父は仕事が忙しくて、普段はあまり家に帰ってこれないんですが、母が私の状態を知らせたら帰ってきてくれて、『勉強頑張るんだよ』って言ってくれたんです。もう1月でしたが、それでやる気モードになれました。受験生に頑張れって言うのは、自分も人にいわれて嫌だったから言いたくないんですけど、私は最後に頑張れて結果に満足しているので、やっぱり『頑張って』ですね」

このような彼らの言葉を聞いていると、一言一言に力があり、自身の言葉で語ろうとしてくれていることが伝わってきます。生徒たちに「知的で開放的な広場」を提供し、「自己ベストの更新」をし続けてもらう、そんな同校の理念は、数か月前までは小学生だった彼らによってすでに体現されているようです。

取材Memo

5人同時の座談会。だれからともなく手が挙がる
今回の取材では、同じ質問を全員に答えてもらう場面が何度かありました。そんなとき、だれからともなくスッと手が挙がるところが、この学校の生徒さんらしい素敵なところだなと感じました。そして同じ質問に答えると内容がかぶってしまうことも想定されるのですが、ひとりひとりが前の発言者の内容をよく聞き、「それなら自分は違う話をしよう」と、その場で考えていることが伝わってきました。個性的な生徒が集っている同校の環境、そして授業のなかでプレゼンの機会が多いことが、そのマインドを育てているのでしょう。
それにしても、入学後に「どの試験で?」という話題がくり広げられるのは、この学校ならではの雰囲気ではないでしょうか?ひとりひとりの個性の違いに驚く経験から始まる学校生活。それはこれからの中学・高校生活6年間の楽しさを予感させるひとコマに違いありません。同校ののびのびとした空気を吸って、成長をとげている様子の生徒たちの将来に、期待がふくらむ取材となりました。