#2 科学のお姉さん 五十嵐美樹さん

科学の楽しさを一緒にLet’s Science!

「科学のお姉さん」として全国各地の科学実験教室やサイエンスショー、テレビや雑誌、YouTubeで活躍中の五十嵐美樹さん。子どもたちが科学に触れるきっかけをつくり続けている五十嵐美樹さんの原動力はどこから生まれるのか、またどうやってその夢をかなえてきたのかをお聞きしました。さぁLet’s Interview!

科学に興味を持ったきっかけを教えてください

五十嵐美樹

中学2年生の理科の授業で教えていただいた、プリズムで白色光が虹のように色ごとに分かれる実験がきっかけです。目の前で起きた光景と身の回りは科学できているということに驚き、この感動的な体験が、難しいと思っていた科学を身近な存在に一変させました。先生が原理だけではなくそれが何につながっているかも話してくださったことをよく覚えています。波長で色が変わるという事実を知るだけではなく、目の前でライブでやる実験を見ながら身の回りのものと紐づいたことが当時の私にとっては良かったのだと思います。これが科学にのめりこむきっかけとなりました。

実験をたくさん行う学校だったのですか?

私は中学受験をして三輪田学園中学校に通ったのですが、実験の授業をたくさん行う学校でした。そうすると理系が多い学校と思われるかもしれませんが私の学年では4クラス中、理系は1クラス、数IIICに進んだのはさらにその半分なので理系は少数派でした。

中学受験はどのように取り組みましたか?

小学生の時は反抗期といいますか、人に言われるままにするのが嫌い、人と群れるのもあまり好きではなくて、みんながドッジボールをしている時も一人でラジカセの前で踊っているような子でした。勉強はあまりできる方ではなくて、弟の方が成績は優秀でした。でも親戚の子が楽しそうに通っていた三輪田学園中学校にはどうしても行きたくて、過去問を一生懸命解いてどうにか合格できました。

たくさんある課外活動が楽しそうでしたし、学校説明会に行った時も、こういう先生たちから学べるんだというのもいい印象を持ちました。うまく言えないのですが学校との相性は、学校の校門を入った時にワクワクする感じがあることが大切だと思います。

学校生活はいかがでしたか?

小学校の時は勉強はあまりしている方ではなかったのですが、中学に入ると一変して真面目に勉強する子になりました。中学受験で目標に向かって頑張った経験が少し自信になって、もう小学校の頃のように反抗しなくてもいいんじゃないかという気持ちになったのだと思います。中学で進路を決める際は、科学の道に進むかダンサーの道か悩みましたが、どちらも好きだったので両方やり続けようと思いました。迷ったら全部やる、です(笑)。

科学の楽しさや魅力ってなんでしょう?

私の場合は「なんで飛行機は飛ぶのだろう?」って思って自分なりに仮説を持った後に調べていくと、こういう原理を使ってこう作ってと、身の回りで起こっていることが科学に行き着くところがグッとくる魅力ですね。仮説が合っていないことももちろんありますが、ロケットもどんな原理で宇宙 に行っているか知った時はワクワクしたことを覚えています。未知なことを自分なりに解釈できた時は思わずニコニコしちゃいます。

どうして今のサイエンスショーを行うようになったのですか?

私が実験に感動し科学に目覚めたように、環境などに関係なく多様な子供たちに科学に触れるきっかけをたくさんつくりたいという気持ちからです。商業施設や道端など、偶然通りかかって出会った子どもたちがたくさん参加してくれます。

そんなやりたいことをかなえる道はすぐに拓けましたか?

大学に行き会社勤めもしましたし、すぐに科学のお姉さんになれたわけではありません。ただダンスと科学はずっと大好きで、あきらめずにやりたいこととやりたいことを組み合わせて 求められる場所を探し続ければきっと見つかると思っていました。その辺のことはTED×Fukuoka登壇 動画「新しい職業をつくる」 で話していますのでぜひご覧ください。

探究力や理科サイエンスをテーマにした新タイプ入試を ご存じですか?

私の時にはなかったいろいろな試験があってびっくりしました。理科の実験をする試験やプログラミングをする試験もあるんですね。すごく楽しそう!試験を終えた子が試験なのに楽しかったという子がいるなんて!すごく素敵なことだと思います。

2科目4科目の教科型とは違う新タイプ入試をどう思われますか?

私もサイエンスショーより受験などに直接役立つ内容の方が子ども達のためになるのかなとか、何のためのサイエンスショーなのかについて悩んだ時期がありました。でも目の前で実験を五感を使って体験したり、間違ってもいいから自分でやってみることには大きな意義があると思うのです。言葉にすることができない非認 知能力や興味が、子どもたちにはたくさん宿っていて、それを開花させるお手伝いをする、それが私がやっていることで、そういう点では、新タイプ入試はちょっと近いのではないかと思います。こんなに試験が進化しているとは思っていなかったのでこれからが楽しみです。私も新タイプの入試に向けて頑張る子どもたちをサポートする様な形で関われたらなと思いました。

※写真撮影時のみマスクを外していただきました。

PROFILE
五十嵐美樹(Miki Igarashi)
サイエンスエデュテイナー 五十嵐美樹(Miki Igarashi)

東京大学大学院修士課程修了。東京大学大学院客員研究員。ジャパンGEMSセンター特任研究員。理系女子未来創造プロジェクト理事。国際科学オリンピック応援団。NHK高校講座 「化学基礎 」レギュラー出演。幼い頃に虹の実験を見て感動し、科学に興味を持つ。上智大学理工学部在学時に「ミス理系コンテスト」でグランプリを受賞後、全国各地で子どもたちにむけて科学実験教室やサイエンスショーを開催し、子どもたちが科学に触れるきっかけを創り続けている。