2023年に創立100周年を迎えた東京家政学院。建学の精神の「KVA」とは、知識(Knowledge)を高め、技術(Art)を磨き、徳性を養う(Virtue)こと。1世紀にわたって「社会で活躍する自立した女性」を育成し続けています。「少人数制教育」で、丁寧できめ細かな指導に定評がありますが、中学では千代田区という立地を生かした地元密着型の探究活動を行って思考力や行動力、協働力を涵養し、高校からはコース制を敷くなど、生徒一人ひとりの個性に応じた教育を展開しています。そんな同校の入り口である中学入試もまた多様ですが、今回は「プレゼン入試」をご紹介します。まずは「プレゼン入試」を受験し、入学したお二人の生徒さんに、そして教頭の安達京子先生にお話を伺いました。
■「プレゼン入試」募集要項 ●試験日程:2026年2月1日(日)午前 ●試験科目:学力試験(国語/100点/45分)、 自己PR(プレゼンテーション/活動報告書20点・面接80点の合計100点/約10分) ※自己PRは、事前に「活動報告書」を提出 ★プレゼンのテーマ:自由(過去の例:ピアノ、バレエ、書道、ダンス、VR制作など) ★プレゼンの評価法:大会などの実績ではなく、プレゼン力自体を評価する (小学校までに自分が取り組んできたことを、 自分の言葉で一生懸命わかりやすく伝える)
教えて!学校のこと、プレゼン入試のこと

中学1年 S.Hさん
中学受験をしようと思ったきっかけは?
私は区立の小中一貫校に通っていました。一貫校の中学に進学しても、高校入試があるので、高校入試がない私立の中高一貫校がいいかな、と思いました。周囲からのすすめもあったので、中学受験することにしたんです。
東京家政学院のプレゼン入試のことはどうやって知りましたか。
通っていた習い事(英語)の場所から近く、駅で学校の看板を見たことが最初の出会いです。家庭教師の先生からも「いい学校だよ」と勧められて、学校説明会に参加しました。そこでプレゼン入試のことを聞き、私に向いているかも、と思いました。
どんなところが向いていると思ったのですか。
人前で話すことが好きだったからです。
プレゼン入試で、どんなことをアピールしようと思いましたか。
小5の時から参加していた小中合同の美術部の活動をアピールしようと思いました。絵が好きで、ポスターコンクールに入賞したこともあるので、それもアピールできると思いました。
プレゼン入試に向けて、どのような準備をしましたか。
アピールしたいことをパワポにまとめました。工夫した点は、時系列にまとめることで、美術を通じて自分の成長も表現したことです。家では、両親の前で何度も練習しました。国語の試験対策は、過去問を何度も解きました。
試験当日のことを教えてください。
プレゼンする時間は数分だったと思うのですが、ものすごく緊張しました。でも家で何度も練習していたので、しっかりアピールはできたと思います。

入学後はどんなことに力を入れていますか。
数学が苦手なので、数学を頑張っています。英検は中1の間に3級を取得したいと思っています。
東京家政学院はどんな学校ですか。
学年やクラスに関係なく、入学後はみんなとすぐに仲良くなれます。授業中も発言しやすく、先生と生徒が対話しながらすすめていくスタイルなのでわかりやすいし、楽しいです。部活は運動部にするか、美術部にするか悩みましたが、中学のうちは運動をやってみたくてダンス部に入部しました。
プレゼン入試の経験は、どんなことに役立っていますか。
人前で話すことに、これまで以上に自信が持てるようになりました。中学に入ると、人前で話す機会がすごく増えますが、どんなときも臆することなく発表できています。
これからプレゼン入試で受験する後輩たちにアドバイスをお願いします。
本番は緊張するかもしれませんが、自分が今まで頑張ってきたこと、アピールすべきことをしっかり頭に入れて臨めば大丈夫です!
中学1年 H.Yさん
東京家政学院のことを知ったきっかけは?
小5のとき、バドミントンの都大会に出場していた姉の応援に行きました。姉は別の中学だったのですが、会場で東京家政学院のバドミントン部の人たちが練習する姿を見て、すごくカッコいいなと思ったんです。
どんなところがカッコよかったのでしょう。
試合前の基礎打ちも上手だし、全力を出し切るプレースタイルが魅力でした。私もバドミントンをやっていたので、東京家政学院のバドミントン部に入りたいと思いました。
プレゼン入試で受験しようと思ったのはなぜですか。
とにかく東京家政学院のバドミントン部に入りたかったので、早速学校説明会に参加しました。そこでプレゼン入試があることを知り、これまで頑張ってきた、そして、これからも頑張りたいバドミントンのことをアピールしようと思いました。
プレゼン入試に向けてどんな準備をしましたか。
スケッチブックに文章などを書いて、めくりながらプレゼンしようと思いつきました。字だけではなく、イラストや写真も入れたほうがわかりやすいと思い、何度も何度も描きなおしました。家族の前で練習してアドバイスをもらいました。
また、入室するときのドアの開け方やお辞儀の仕方も、姉に教えてもらって練習しました。
教科テストの勉強はどのようにすすめましたか。
塾に通っていました。国語は読解が苦手でしたが、過去問を何度も解いたので、当日は自信を持って解くことができました。
プレゼン入試当日の感想を教えてください。
とても緊張しましたが、わかりやすくハキハキと話すことと、笑顔を心がけました。

入学後は念願だったバドミントン部に入ったのですね。
はい!練習は、想像していたよりも厳しくて最初は少し戸惑いましたが、憧れだった部活なのですごく楽しいです。全国大会に出ることが目標です。部活と勉強の両立は大変だなあ、と思うときもありますが、学校の授業にはしっかり集中して、授業中に理解することを心がけています。部活の練習を終えて家に帰ると、疲れてすぐ眠くなってしまうので、眠くならないうちに一気に宿題などを終わらせるようにしています。
東京家政学院のどんなところが好きですか。
みんな明るくて、先生との距離も近いことです。女子だけだから、体育祭などの盛り上がりもすごいです。
好きな科目は何ですか。
理科が好きです。実験がたくさんあるので、楽しいです。イカの解剖もやりました。
これから楽しみにしている授業などはありますか。
家庭科の調理実習が楽しみです。実習で着用するかっぽう着をこの前縫い上げたばかり。それを着て、早く調理実習がしたいです。
続いて、教頭の安達京子先生にお話しをうかがいました。

■一生懸命頑張ってきた「思い」を伝えてください。
「勉強の力」は、入学してから伸ばします
「プレゼン入試」を始めて7年が経ちました。受験生に何か傾向の変化を感じられることはありますか?
傾向の変化はあまり感じませんが、受験生それぞれのキャラクターにバリエーションがありますね。それが入学してから、周囲の刺激になっている部分があるように思います。
御校は、中高時代の6年間をかけてプレゼン力を育てる教育を展開されています。そういう意味でも、この入試の意義は大きいですね。
そうですね。本校では入学後も一人ひとりプレゼンする機会が多いですし、社会に出た時にプレゼンするのは普通のことですから、中1からそういう場が多いのはいいかもしれませんね。生徒たちが社会に出た後には『できて当たり前』と思っているかもしれません(笑)。
プレゼン入試では、国語の試験もありますが、小学校で勉強したことを振り返っておけば大丈夫なのでしょうか。
過去問を繰り返し解いてください。勉強の力は、入学してからも伸ばします。
お二人の生徒さんに伺ったところ、入試の時はPCやスケッチブックを用いてプレゼンしたそうですが、どのようなプレゼンスタイルが多いのでしょうか。
やはりパワーポイントで作った資料を使った発表が多いですが、形式は自由です。どんなプレゼンをしてくれるのか、私たちもとても楽しみにしています。
生徒さんが、「先生と生徒の距離が近い学校」とおっしゃっていましたが、生徒さん同士もそうなのではないでしょうか。プレゼンの機会が多い御校ですが、例えば、「あなたの発表を聞くから私のも聞いて」と、声をかけ合っているのではないかと、そういう雰囲気を感じました。
ありますね。そこで、『ここは良かったよ』と、お互いに助言し合っているのではないでしょうか。それは大きいです。教師からの言葉も大きいですが、同世代の友達から言われることは嬉しいですし、自信になりますから。アドバイスし合えるという関係性は大事ですし、それができる環境を作ることも大事だと思っています。
では最後に、先生から受験生に期待することなど、メッセージをお願いします。
プレゼン入試は、自信のあることをアピールするというイメージかもしれませんが、それだけでなく、6年間の小学校生活を振り返った時、伝えたいことがあれば伝えてほしいというものです。それは、中学に入ってからも必ず自分の力になっていきますので。今年は、ヘアドネーションのボランティア活動を行っている受験生もいましたが、髪を伸ばす過程を追った写真を見せながら発表してくれました。ちなみに、その生徒は今も活動を続けています。何にでも好奇心を持っている受験生を待っています。
大会やコンクールなどでの実績は不要ですね。
あれば拝見しますが、採点はしません。『いかに自分の思いを伝えるか』というプレゼン力だけを見させていただきます。ただ、どの受験生を見ても、親御さんの姿が目に浮かびますね。成功体験の機会を作るなど、お子さんに上手に自信をつけさせているなと感じています。
- 取材Memo
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大きな自信や力になるプレゼン入試
プレゼン入試というと、秀でた特技などがないと難しいのでは、と思われがちですが、今回お話をきいた二人の生徒さんは、「特別に秀でたもの」というよりも、頑張ってきたことを素直な気持ちでアピールして合格しています。プレゼン入試を通じて、改めて「頑張ってきたこと」や「好きなこと」を考え、それをどのように表現するかを自分の力で見つけていく作業は、小学生にとって大きな自信や力になるのではないでしょうか。また、二人とも入学前から東京家政学院のことが大好きで、併願校は考えなかったのだそう。そこまで好きになってもらえる魅力がある学校なのです。