Q どうして女子校は男子校よりたくさんあるの?
男子校と比べて女子校の数がものすごく多いことが気になります。どうしてこんなにも違うのでしょう。
A 第二次世界大戦前は女子の教育は主に民間が担ったから
明治から第二次世界大戦終了までは国の政策は主として殖産興業、富国強兵的なものでした。それに男女は平等ではありませんでしたから、公立(昔は官立と言いました)の中等教育機関である男子の旧制中学校、女子の旧制高等女学校の数で言えば圧倒的に旧制中学校の方が多く、女子の中等教育は主に民間が担っていたのです。そうした歴史から私立の女子校がたくさんあるのです。第二次世界大戦後は教育の民主化ということもあり、戦後に創立された学校は共学校が多くなりました。
と言っても都県でだいぶ事情は異なります。募集している学校数でみると下記のようになります(2024年4月時点)。
都県 | 男子校 | 女子高 | 共学校 |
---|---|---|---|
東京 | 29校 | 61校 | 87校 |
神奈川 | 9校 | 20校 | 28校 |
千葉 | なし | 2校 | 19校 |
埼玉 | 3校 | 3校 | 19校 |
男子校が41校しかないのに対し、女子校は倍以上の86校もあります(共学校は153校)。首都圏の私立中学の半数以上が共学校であることもわかります。また、千葉・埼玉はほとんどが共学校なので、男子校・女子校の選択肢が極めて少ないことがわかるでしょう。
共学校で募集定員を男女別で設けている学校がすべて男子の方を多くしているのは男子校・女子校の数がこれほど違うという背景があるのです。
- プロフィール
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中学受験の専門家 安田 理 先生
東京都出身。早稲田大学卒業。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。日本経済新聞、朝日小学生新聞、「進学レーダー」、「サクセス15」、ベネッセ「高校合格言」、まなび倶楽部、WILLナビ、moveonlineなど各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。著書に、「中学受験 わが子をつぶす親、伸ばす親」(NHK出版)、「中学受験 ママへの『個別指導』」(学研)などがある。