【鶴見大附属】の禅×先進的教育で伸ばす、適性検査型入学生の主体性と学びの姿勢。

適性検査型入試

JR鶴見駅から徒歩5分。約15万坪もの敷地に幼稚園から大学までを擁する総持学園は曹洞宗大本山總持寺を母体とする学校法人。その中核をなす鶴見大学附属中学校は、広大な学園内を10分歩いた高台にある学校です。
朝10分間のこころの時間での黙念(椅子に座った坐禅)や、昼食での五観の偈(食事の前に唱える食事をいただけることへの感謝)など、禅の精神に基づく人間教育が随所に見られる同校。2024年に創立100周年を迎える長い歴史の中で育んできた学びを先進的な教育で発展させています。例えば、授業は先生が教室に教えに来るのではなく、生徒が自ら学びにいく大学風のスタイル(教科エリア+ホームベース型校舎)。その他、全教室に設備されたWi-fiとプロジェクターを駆使したICT授業、現役大学生が質問や相談に応じるチューター制度、蔵書5万冊の図書館など充実した教育環境を整えています。

教えて!学校のこと 試験のこと

「適性検査型入試」を受験した生徒さんが取材に答えてくれました。ぜひ参考になさってください。

高校1年生のG.R.さん(左)とH.M.さん(右)
※写真撮影時のみマスクを外していただきました。
※学年は撮影当時

Q. 本校を受けてみようと思ったきっかけは?

「公立の中高一貫校が第一志望だったのですが、受験にあたって『場の雰囲気に慣れておいたほうがよい』ということで、塾から公立と同じ適性検査型入試を行っている私立校として紹介されたのが、この学校でした。その後、学校の資料などを見ていくうちに、きれいな校内風景や教科エリア型校舎に興味がわきました」(G.R.さん)
「学校を知ったきっかけは私も同じです。学校説明会に参加して、学校の雰囲気もとてもよいと感じました」(H.M.さん)

Q.適性検査型入試に向けて、何か対策しましたか?

「公立の適性検査型入試に向けた勉強をしていましたので、特に本校を意識した対策はしていませんでした」(G.R.さん)
「私も、公立の適性検査型入試と問題の傾向が似ていると聞いていましたので、特別なことは何もしていません。心配もしていませんでした。実際、公立向けに勉強していた基礎的なことが出題されていましたので、手ごたえを感じました」(H.M.さん)

Q. 受験当日で印象に残っていることは、ありますか?

「受験の教室に行くまでの廊下に先生方が立っていらっしゃったりして、私達受験生を受け入れてくださっているのだなと感じられました。そのおかげで、緊張感なく試験を受けることができました」(H.M.さん)
「試験開始前に学校から合格祈願と刻まれた鉛筆を頂いたことが、とても印象に残っています。良い意味で意外でした。試験では使いませんでしたが、緊張がほぐれました」(G.R.さん)

Q.入学してみてどうですか?

「26人のクラスで女子は7人しかいなかったのですが、人数が少ないからこそ仲良くできています。名簿の順序も女子が先ですし、自己紹介やグループワークなどでも先生が配慮してくださいますので、人数が少ないことでのやりにくさはありません」(H.M.さん)
「中学に入学した当初は、学校に友達が一人もいない状態で不安でしたし緊張もしていましたが、すぐに友達もできました。先生方ともいろいろな話ができるようになってからは、授業にも集中できるようになり、学校生活が明るくなりました。校内の雰囲気や勉強に対する姿勢がとてもよく、過ごしやすい学校です」(G.R.さん)

Q. 学校で気に入っているところは?

「英語などコミュニケーションが必要な授業では、先生が自己紹介の機会を設けるなどの雰囲気づくりをしてくださいますので、人見知りな私でも自然と自分から話しに行けるようになりました」(H.M.さん)
「教科エリア+ホームベース型校舎が気に入っています。教室がひとつだとどうしてもずっと座ったままになりますが、教室を移動する間に他のクラスの友達や部活の先輩とすれ違ったりできて楽しいです。また、分からないところを教科の専門の先生に質問できるチューター制度もいいですね。図書館も広くて使いやすいです」(G.R.さん)

「校内の雰囲気がよい」、「先生方の面倒見がよい」、「明るく楽しい」という感想を2人とも何度も口にされていたのが、印象的でした。続いて、先生にも試験のことや教育について伺ってみました。

入試広報部顧問 川野正裕先生

適性検査型ではどんな問題が出題されるのでしょうか

「毎年地域を決めてその地域に関わる国語・社会・理科の観点から答える26問前後を出題し、そのうち約3問が文章で解答する記述問題です。例年、神奈川県内や近隣のどこかひとつのフィールドにスポットを当て、その地域に関連する資料や情報をもとに、教科の枠を超えて考えて答える問題が出題されます。この問題を通して、基礎学力・資料を読み取る力・そこからわかることについて考え自分の言葉で表現する力が考査されます。例えば鶴見を取り上げた年度は、都市化と工業化が進むなかで、漁村の縮小や街の変遷に注目した、社会科の観点から問われる問題、また河口付近の干潟の生物や潮流に関する理科の観点から問われる問題が組み合わせて出題されました。算数の基礎力を問う計算問題も出題され、計算問題や記述問題を含め45分で26問に解答することになりますので、時間配分をしっかり考えて解答することがポイントです」

記述問題の採点ポイントは?

「記述問題は、①問題文の意図を理解しているか ②漢字や仮名遣いが適切か ③文章表現(助詞や主述関係)が適切か ④資料を踏まえているか ⑤論旨が明確か の5つのポイントで評価されます。資料はいろいろな読み取り方がありますので、三者三様の答えがあって構いません。この5つのポイントがきちんと抑えられていれば、いかようにでも答えられる問題となっています」

問題の特色
〇設問は26題前後
 ・うち約3題は50文字程度で回答する記述問題
〇文章、グラフ・図表、地図など情報量が多い
 ・時間配分を考え、効率よく的確に読み取る
  訓練が必要
〇複数の資料を比較しながら読み取り、そこから
 わかることについて判断し、表現する力を問う
〇算数の基礎力、特に計算力を問う

過去のフィールド例
2017年度 鶴見・生麦周辺
2018年度 鎌倉周辺
2019年度 東京都大田区周辺
2020年度 横須賀・三浦周辺
2021年度 川崎南部周辺
2022年度 金沢文庫・鎌倉周辺
2023年度 鶴見周辺
2024年度 JR横浜線沿線

適性検査型問題を作成する際の考え方は?

「本校の適性検査型の入試受検生のおよそ9割は、県内の公立中高一貫校、特に川崎市立川崎高等学校附属中学校、横浜市立南高等学校附属中学校、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校の併願受験です。こうした学校の出題傾向をある程度踏まえながら、この3校に向けて受験準備をしてきたお子さま達の努力が報われるようなタイプの問題を作りたいと考えています。そこに加えて、近年の大学入試の出題傾向や本校が取り組んでいる学びの方向性を反映させる。これが問題作成のひとつのコンセプトです」

適性検査型入試で入学した生徒さんに特徴はありますか?

「適性検査で入ってきた生徒は、小テストの点数に一喜一憂しない傾向があります。反面、プレゼンテーションやグループワークの時に大いに力が発揮できる子が多いと感じています。2科4科受験で入学した生徒に比べて序列を気にせず自信にあふれ、主体性を持っていて学ぶことに積極的。自分の未来を疑わないというか、ひるまないというか、自己肯定感が強く前向きな面が、すごく見られますね」

適性検査型入試を選ぶ生徒は、前向きでコミュニケーション上手、リーダーシップをとれるタイプが多いといわれています。同校には、そんな生徒達の資質を伸ばす学習環境が整えられています。

御校の特徴的な「教科エリア+ホームベース型校舎」について教えてください

「教科エリア+ホームベース型校舎は、先生が教室に来るのではなく、生徒が教室に学びにいく大学の学びのスタイルを取り入れたものです。2009年に導入しました。教室を移動することで主体的に学びにいくという姿勢を養うことが、教科エリア型校舎を導入した目的です。小学校までは親御さんに何でもやってもらっていたと思いますが、中学生になったら、自分の時間と物、生活を律することのできる姿勢を身につけて欲しいと私たちは考えているのです。この教科エリア型校舎に代表される本校の学びの環境は、適性検査型入試で入学する生徒達に、とても合っていると思います。受験対策で培ってきた力:資料や情報に向き合う姿勢を大いに伸ばしていけるのではないでしょうか」

教科エリア型校舎の説明もある学校紹介動画
https://www.school-2020.net/kanagawa/

禅の精神に基づいた人間教育とは?

「信仰活動をしているわけではありませんが、禅の教えと作法を教育に取り入れています。本校には毎朝『こころの時間』といって、お経を読んだり黙念をしたりする時間があります。毎朝、本鈴直前に汗びっしょりになって教室に駆け込んで来る生徒も少なくありませんが、そんな生徒も『こころの時間』で気持ちが落ち着き、授業に集中することができます。また、多少嫌なことがあっても、気がつくと気持ちが前向きにリセットされます。こうしたことを6年間続けていると、やはり違ってくるのではないでしょうか。禅の作法は、自分の心をコントロールする術や主体性を養うことにつながっていると思います」

毎朝、ホームベースにて行われる「こころの時間」。約10分間、黙念(もくねん)・読経・聖歌からなる朝礼を行います。

来年受験を考えている受験生や保護者へのメッセージをお願いします。

「見学にこられた教育関係者から『のびのびした学校ですね』と、よく言われます。そうした本校特有の雰囲気も、適性検査型の生徒に向いていると思います。ここには、インターネットの画像や動画では伝わらない魅力、実際に足を運んでみないと分からない空気があります。ですから、ぜひ一度、学校を見に来てください。受験に向けてのモチベーションも上がると思います。皆さんにお会いできる日を楽しみにしています」

学びの姿勢や主体性の育成にもつながっているという禅の作法。教科エリア型校舎やICTなど先端的な教育環境と両輪を成して、鶴見大学附属中学校の教育を支えています。本校ならではの「のびやかさ」もまた、禅の精神あってこそかも知れません。

取材Memo

合格鉛筆
生徒インタビューでも話題に出ていたように、本校では受験当日の朝、受験生全員に鉛筆を配っています。白字に合格祈願と刻印されたこの鉛筆は、名付けて『合格鉛筆』。生まれて初めての受験で緊張している子ども達の心を少しでもほぐしたいと、先代校長が始めたそうです。受験当日は他にも、筆記具を忘れた受験生のために鉛筆や消しゴムを用意。さらには、鉛筆削りまで準備してあるとのこと。生徒達も口にしていた「面倒見のよさ」を感じました。