【桐蔭学園】のAL入試は、未来へ羽ばたく私らしい扉を開く入試。

思考力入試

敷地面積34万4270平方メートル、東京ドーム約7.4個分の敷地に、幼稚園から大学院まで擁する桐蔭学園は、スポーツの強豪校としても知られる総合学園。1964年の創立からの男女別学(併学)を2018年に共学化。新しい進学校のカタチとして「アクティブラーニング(AL)型授業」「探究(未来への扉)」「キャリア教育」を3つの柱に、変化の激しいこれからの社会を主体的に生き抜くための資質・能力を育てることに取り組んでいます。

今回は「アクティブラーニング(AL)」からはじまる桐蔭学園の学びについてカリキュラムマネージャーの川妻 篤史先生にお聞きしました。

カリキュラムマネージャー 川妻 篤史先生
※写真撮影時のみマスクを外していただきました。

まずアクティブラーニング(AL)について教えてください。

「桐蔭学園では2017年に文部科学省が『新しい学習指導要領の考え方』で公示する前、創立50周年に向けた学校改革で討議を重ね、アクティブラーニングの導入を決定。2015年に京都大学から溝上慎一先生(現・桐蔭学園理事長、トランジションセンター所長、桐蔭横浜大学学長)を教育顧問として招いて導入し、他校からも見学にくるアクティブラーニングの先駆け校となりました。本校のアクティブラーニングでは、知識・技能を活用して考え、他者と話し合い、より良い答えを追求し、発表するといった経験を重ねることで、主体性や多様な意見に耳を傾ける力、チームで問題解決をする力を育てています」

2016年度【改革2年目のさらなる進化】桐蔭学園 アクティブラーニング型授業の改革

アクティブラーニング(AL)型授業はどのように行われるのですか?

「アクティブラーニング型授業の具体的な学習方法は、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなどが有効とされていますが、本校では『深い学び』を促すために、『個』→『協働』→『個』の流れで生徒が主体的に『わかったつもり』から『わかった』となる学習を体系化して展開しています。はじめの『個』では、小テストを用いた知識確認やワークシートでの課題への取り組みを行います。『協働』では、ペアワーク、グループワーク、プレゼンテーションを通して学びを深めていきます。最後の『個』では、ふり返りを行い、自らの学びを見つめなおします。」

アクティブラーニング(AL)型授業の導入でどのような変化が生まれましたか?

「学力にはペーパーテストで測れる知識・技能といった『見える学力』の下に、思考力・判断力・表現力という『見えにくい学力』があります。そしてさらにその下には自己肯定感・感性といった『学びに向かう力』と言われている『見えない学力』があります。この『学びに向かう力』を大きくすると『見えにくい学力』や『見える学力』が伸びていくのです。本校では、AL型授業を導入したことで、『学びに向かう力』から『見える学力』までを包括的に伸ばすことができるようになりました。

AL型授業で生徒が主体的に学ぶようになると、答えのない課題に向き合う探究心が芽生えます。そして探究心が豊かになると、自分は人生の中でどんな課題を解決したいのか、さらにはその課題とどう向き合っていくのかというキャリアにまで考えが及ぶようになります。そういう意味で、本校では、『AL型授業』・『探究(未来への扉)』・『キャリア教育』は三位一体のものと考えています」

探究(未来への扉)について教えてください。

「『未来への扉』は、1年次から5年次に週一回行われている探究の授業です。課題の設定の仕方、情報の集め方、分析・整理の仕方、プレゼンテーション資料の作り方など、問題解決の方法を身につけていきます。1・2年次は偉人を調べて発表する『偉人探究』などを行い、基本的なスキルを学びます。3年次は1・2年次に得た基本スキルを使って『15歳のグローバルチャレンジ』に取り組みます。

『15歳のグローバルチャレンジ』では、生徒が各国政府の代表になって世界が抱える諸問題の解決に挑む『模擬国連』を行ないます。異なる主張の国々と交渉し合いながら、決議の採択を目指すという難しい課題に挑戦します。4年次は、現在構想段階ですがデータサイエンスを取り入れた学習を企画しています。これからは文系理系を問わずデータを分析して問題解決にあたる力が求められています。そして4年次後半から5年次は、ゼミ形式で自分が関心のある分野を探究し、その成果を発表して、論文にまとめます」

15歳のグローバルチャレンジに取り組む生徒たち

キャリア教育について教えてください。

「テストで高い得点を取っても、いい大学に入っても、その先にあるのは社会・仕事です。学校での学びは、社会に出てからも役立つ、生涯にわたって必要とされる学びであるべきで、本校では、学校から社会・仕事へのトランジション(移行)を重視しています。本校のキャリア教育では、朝のホームルームで自分の考えや夢を言葉にして相手に伝える『1分間スピーチ』、ミュージカルと研修が一体となった『シアターラーニング』、卒業生から話を聞く『フロンティアセミナー』などを行ない、『今の自分』と『ありたい自分』をつなぐ力を育成しています」

朝のホームルームでの「1分間スピーチ」

最後に「AL入試」について教えてください。

「総合思考力問題は、受験生に映像による授業を受けてもらいながら課題に取り組んでいく試験です。アクティブラーニングで大切なのは、まず授業をきちんと聞いて理解することです。これは総合思考力問題でも同じです。そして、与えられた情報を整理・分析し、そこから自分の意見をまとめること、さらに他者の意見も聞いた上で再度自分の意見がまとめられることが求められます。過去に出題された問題を例に話しますと、太陽光発電をテーマにした問題では、太陽光発電についての授業動画を受験生に見てもらい、『あなたならどこに太陽光の発電所を設置しますか』という課題に取り組んでもらいます。どこに設置してもメリットデメリットがある選択肢になっており、その答えに正解はありません。ではどういう点が評価ポイントになるかというと、受験生独自の切り口や価値観があるかというところです。たとえば、昆虫が大好きで、森を切り崩すことはそこに住む昆虫にとってよくないといった主張ができるかどうかということです。というのもアクティブラーニングでは、その人が大事にしたい価値観が反映されたディスカッションだと大変盛り上がるんですね。総合思考力問題の後に行われる面接では、他の人の答えも聞いた上であらためて自分の意見を書くふり返りの時間を設けています。自分の価値観をもっていると、こうしたところでもきっと答えやすいと思います。総合思考力問題は、『個』→『協働』→『個』のアクティブラーニング型授業の流れをコンパクトにまとめた入試ですから、模範解答のような『正しい答え』ではなく、受験生の価値観が反映した多様な解答を期待しています。そういう意味では、AL入試は自由研究とか自分が好きなことがある受験生にあった試験だと思います」

川妻先生の考えるAL入試の理想は、受験生が「こんな答えを書いたよとニコニコ笑って終える入試」であり、また「AL入試は、知識・技能より、自分の考えが求められる。合わない子には合わないのでかえってマッチングがある」というお話が印象に残りました。それはAL入試が、従来の教科型の入試とは全く異なり、アクティブラーニングのベースとなる自分の思考をアウトプットするよろこびが評価され、そんな自分の思考を表現することが笑顔につながる入試だからではないでしょうか。

教えて!学校のこと 試験のこと

「AL入試」を受験した生徒さんへのアンケートです。ぜひ参考になさってください。

中学受験を考えはじめたのはいつ頃ですか?またそのきっかけは?

小学校3年生の2月頃からです。兄が中学受験を経験していて、自分も挑戦したいと思いました。

AL入試をどこで知りましたか?

塾で適性検査試験の対策をしていて受験可能な学校を調べている時に、近所でAL入試を受験した知り合いがいて知りました。

AL入試を受験するための準備をしましたか?

学校ホームページの過去問サンプル映像を視聴しました。12月の入試体験会にも参加し本番に備えました。集団面接では1分間でスピーチをすることを知り、家で何度も練習しました。

なぜAL入試を選んだのですか?

自分の意見をまとめたり発表したりすることが得意だったので4科2科受験よりもいいと思いました。

AL入試を受けた感想は?

総合思考力問題は映像を見ている時、メモに気を取られすぎてしまい、重要なところを聞き逃してしまいました。算数では基礎の土台ができていれば応用して解くことができる問題があり達成感がありました。

入学してどうですか?

当初は内進生(内部進学生)と仲良くなれるのか不安だったのですが、内進生の友達が優しく学校内のことを教えてくれて仲を深めることができました。自分の考えを即興で話す機会が多く、考えを言語化して話す力が大きく身についたと思うことが増えました。

将来の夢はなんですか?

学校の先生です。どうすれば相手に上手く分かりやすく伝えることができるかという工夫を考えるのが好きだから。

これから受験する人へのアドバイスやメッセージは?

入学時、4科目受験をした人は、数学や理科や社会などを受験勉強で鍛えているから、自分は他の人より遅れているのではないかとずっと心配でした。実際1学期の成績はあまり満足できるものではありませんでした。そこで担任の先生に相談したところ、日々の復習をすすめられました。そして1日1教科10分間、その日にやったことをノートにまとめることをやってみると2学期3学期は成績が大きく伸びました。スタート地点はみな同じです。そこから個々の努力が成績を左右します。悩む必要はありませんので、日々の努力を惜しまず頑張ってください。

取材Memo

「人を人と一緒に育てる」
アクティブラーニングというと横文字の流行り言葉のような感じがしますが、川妻先生が委員となってアクティブラーニングの導入に携わっていた時、昔の教育書をたくさん読み直したと言います。古い価値観と新しい価値観が出会う変革期に起こることはどの時代でも同じでありとても参考になったといいます。そしてまた変わらないのは、人を育てるのは人で、人は人と一緒に成長するということも改めて思ったことだといいます。そこには横文字であろうが何語であろうが、言語化することは難しい、教育が持つ本質的で普遍的な役割があるように思いました。